盛岡タイムス Web News 2017年  2月  16日 (木)

       

■  世界初「血液成分分離キット」 医療機器事業のセルスペクト 遠心分離器が不要に 岩渕社長が中小機構理事長賞


     
   6日に東京都の虎ノ門ヒルズフォーラムで表彰された岩渕社長  
   6日に東京都の虎ノ門ヒルズフォーラムで表彰された岩渕社長
 

 盛岡市の医療機器開発製造販売セルスペクトの岩渕拓也社長が、中小機構の起業家表彰制度Japan Venture Awards(ジャパンベンチャーアワード)2017で中小機構理事長賞を受賞した。高い技術力と市場ニーズに応えた開発、ビジネス戦略が評価され、全国157人から最終ノミネート13人に選ばれた。1月に融資された日本政策金融公庫の新事業育成資金1億円からは、世界初開発の「血液成分分離キット」の実用化を進める。「消費者、医療業界の要望をかなえる技術開発に徹している。臨床検査をより身近にし、病気で苦しむ人を減らしたい」と岩渕社長は思いを語る。

  同表彰での盛岡地域からの受賞は08年のアイカムス・ラボの片野圭二社長(奨励賞)以来。今回は特に、スマートフォンを活用したセルフチェック用の健康検査キットの開発が評価された。

  血液と尿を用いて自己検査ができ、クラウドで経過を管理できる商品。血液か尿を1滴採って付属の薬品にたらし、色の変化で病気をチェックする。コレステロールや感染症、前立腺がん、大腸がんなど13項目を検査でき、結果をクラウド上で管理する。

  世界初となったこのセルフ検査器とクラウド管理のセット。日本では血糖値以外の自己検査器の前例がないため、セルフ検査がメジャーなアメリカ、ヨーロッパでの普及を図る。4月から、各国で一般用検査薬の流通に係る薬事申請を始め、夏ごろから市場に流通させる。

     
  血液の分離を容易にした世界初の商品「血液成分分離キット」  
  血液の分離を容易にした世界初の商品「血液成分分離キット」
 

  同融資からは、開発に約1年間を要した手のひらサイズの「血液成分分離キット」の国内流通を促す。健康診断などで採血した血液は通常、遠心分離装置で血漿(けっしょう)と赤血球成分に分離させる。

  この装置と同じ機能を備える同キットは、血液をたらして10分間置くだけで分離させることが可能。大型で高額の同装置に比べ、安価で手軽に使えるため個人病院や訪問医療、救急医療での需要が期待できる。特許出願中で、17年中の実用化を目指す。

  岩渕社長は事業について「リスクある事業に経営資源を投じられるのがベンチャー企業の最大の強み。地域発のベンチャー企業として挑戦し続ける姿は、若い起業家の育成にもつながる」と述べ、「投資による地域の期待に技術力で応え、地域経済の主役を生み出す役割も果たしていきたい」と力を込めた。

  同社は同市北飯岡の市新事業創出支援センターに本社を置く。16年1月には同公庫の資本性ローン3千万円を受け、臨床検査装置「経膣プローブ」の実用化を進めた。今回融資された資金制度は、融資と同時に同公庫が新株予約権を取得して必要資金を無担保で供給する「新株予約権付融資」と、資本性資金を無担保・無保証で供給する「資本性ローン」を組み合わせたもの。


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