盛岡タイムス Web News 2017年  2月  20日 (月)

       

■  滝沢市の炎重工 微弱電流で魚を制御 世界初の展示水槽アクトリウム 将来は養殖システムに応用も


     
  同装置で一カ所に集められた金魚をうれしそうに眺める古澤社長(34)  
  同装置で一カ所に集められた金魚をうれしそうに眺める古澤社長(34)
 

 滝沢市穴口のロボット開発、炎重工(ほむらじゅうこう、古澤洋将社長)は1月、魚の動きをコントロールできる世界初の展示水槽「アクトリウム」を開発した。超微弱電流で魚群をあらゆる箇所に誘導する装置を入れた水槽。ボタン一つで操作でき、水中生物すべてに対応することから水族館などのレジャー施設、研究機関などでの需要に期待できる。将来的には、海や池のいけすの魚介類を管理する「養殖システム」として提案し、網要らずの養殖を実現させる。

  2016年2月に設立した同社。国の異能(inno)vation事業助成金300万円の採択を4月に受け、開発途中だった同装置の商品化に乗り出した。

  開発の始まりは15年10月、山田町で養殖を営んでいる古澤社長の叔父からいけすの網の汚れについて相談されたのがきっかけ。網の汚れは魚介類の成育に悪影響なため、年2〜3回交換が必要で手間の要る作業だった。

  開発にあたり古澤社長は網から魚へ視点を変え、超音波で野生生物を追い払う装置をヒントに魚の動きを制御することに着目。電流を障害物と錯覚して避ける魚の動きを利用した。水槽に取り付けた髪の毛ほどの細さのワイヤーから微弱電流を流す仕組みで、人や光の感知から操作することも可能。特許出願中だ。

  「電流というと感電を連想されるが、人体に流れている生体電流よりさらに微弱な電流。軽く触れる感覚に近く、魚自体への影響はまったくない」と古澤社長は太鼓判を押す。人工心臓の開発に10年以上携わった経験を基に、人体と魚の構造の違いを徹底的に調査した上で商品化したという。

  古澤社長は創業前の11年まで、医療用介護ロボットを開発するエンジニアとして東京で働いていた。東日本大震災を機に、被災地域の力になりたいと出身地の滝沢市で起業。はじめは高齢化が進む農水産業を支援しようと、収穫物等を運搬する屋外用ロボットの開発を進めたが、異なる現場に対応するシステムはコストが掛かると判断。自動除雪ロボットの開発に切り替えた。同ロボットの技術、ビジネスプランは1月30日、ビジネスコンテスト「第1回BRAVE(ブレーブ)アクセラレーションプログラム」で優秀賞と大和ハウス工業賞、PRタイムズ賞を受賞。運用試験を重ね18年の商品化を目指す。スキー場やパチンコ店、スーパー、公的施設など広い駐車場での需要を見込むという。

  古澤社長は事業目標に「売り上げと雇用の確保」を掲げ、「付随するビジネスやマーケットが広いのがロボット産業の特徴。住民の生活に寄り添うロボットを開発し、県内産業の裾野を広げたい」と意気込む。「ニーズや企画案は豊富にある。5年後の目標売上高は5億円」と力強く語った。
(飯森歩)


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