盛岡タイムス Web News 2017年  2月  27日 (月)

       

■  東北インターンシップ推進コミュニティ 「就業体験」に立ち戻ろう 趣旨と現場の実態にずれ 8大学連携で適正化


     
   学生と企業、双方に有意義なインターンシップを推進する橋マネージャーと橋学生支援室長(左から)  
   学生と企業、双方に有意義なインターンシップを推進する橋マネージャーと橋学生支援室長(左から)  

 学生のインターンシップ(就業体験)を活用する企業が急増する中、その趣旨や目的の適正化が求められている。もともとインターンシップは、学生の職業観を醸成させるために導入された研修。しかし最近では人材確保や地元定着、地方創生など目的が多様化し、採用ありきの実施や「インターンシップさえすれば人材が確保できる」という誤解によって、現場でミスマッチや不具合が生じている。そこで県立大が幹事を務める東北インターンシップ推進コミュニティは、本来の目的「若い人材を地域で育てる」を国や企業、自治体に広げる活動を始めた。

  同コミュニティーは2014年度に文科省のインターンシップ推進事業として発足。東北の大学8校と県、市町村、民間企業などで構成している。15年度で国の事業は終了したが、インターンシップの質と件数の向上を目指し活動を継続。目的の多様化が進む中、その問題とリスクを企業、関係機関で共有する研修会を1月、仙台市で初めて開いた。

  県立大学生支援室の橋郁磨インターンシップ推進マネージャーは「大学は教育、企業は採用手法、国は地方創生。こうした目的の違いが学生と企業のミスマッチ、学生にとって学びのないプログラムを生んでいる」と推測。危険な作業から事故も発生しており、今後は学生の安全確保も求められるという。

  研修会には国、県、市町村、企業、大学、NPO法人などの約100人が集まり、東北経済産業局や復興庁による講演が行われた。

     
   国、企業、自治体、大学の関係者らでインターンシップの課題、目的を共有したワーク(東北学院大学土樋キャンパスにて=県立大撮影)  
   国、企業、自治体、大学の関係者らでインターンシップの課題、目的を共有したワーク(東北学院大学土樋キャンパスにて=県立大撮影)  


  ワークでは、失敗事例として挙げられた「学生の態度不良による受け入れ中止」「労働者として学生を使役」の原因と対策を参加者で討論。現場で起こり得る問題を共有した上で学生を適切に割り振る手法、学生を引きつけるプログラムの必要性が問われた。

  「原因と課題を共有できたのは大きな前進」と橋一教同大学生支援室長は語る。「企業、関係組織が人材を育てるという共通意識を持ってインターンシップを推進する必要がある。仕事の意義、企業と社会のつながりを学ぶ場という本質的な趣旨を見失ってはならない」と力を込める。インターンシップを新事業や経営課題の改善につなげた例から、学生の視点を生かしたプログラムも推奨する。

  今後は景気動向に左右されやすいインターンシップの需要の均衡化を目指し、協力者を増やしながら趣旨理解を促す活動を進める。挙げられた課題の改善手法を協議する場も設け、企業や大学、関係機関の体制づくりにつなげる。

  同コミュニティーには同大盛岡短期大学部、岩手大、盛岡大、山形大、会津大、桜の聖母短期大、尚絅学院大が所属。専用ポータルサイト「インターンシップin東北」などの取り組みは昨年、国の最高評価(S評価)を獲得した。


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