盛岡タイムス Web News 2017年  4月  3日 (月)

       

■  高齢運転者の安全対策強化 臨時認知機能検査を新設 3月施行の改正道交法 免許の取り消し・停止も 代替手段の確保いかに


     
  多くの人が更新を行うアイーナ1階の免許更新センター(盛岡市)  
  多くの人が更新を行うアイーナ1階の免許更新センター(盛岡市)
 

 臨時認知機能検査など高齢運転者の交通安全対策強化を含む改正道路交通法が、3月12日に施行された。上昇傾向にある高齢運転者の交通事故抑止のため、75歳以上の高齢運転者の認知機能検査の見直し、臨時認知機能検査・臨時高齢者講習制度を新設。認知症と診断されれば免許取り消しや免許停止となる。岩手県警によると、本県の2016年交通事故発生件数は2378件。うち563件は高齢運転者が主な事故原因とする。一方で本県では住民の高齢化が著しく、免許停止となれば生活手段が失われる可能性があり、代替交通の公共交通網整備が難しい自治体では大きな課題となっている。

  改正道交法の高齢運転者の交通安全対策の強化は、免許更新時の認知機能検査で第1分類と判定された人は違反の有無にかかわらず臨時適性検査が必須。違反は信号無視など「認知機能が低下した場合に行われやすい一定の違反行為(18基準行為)」が新設され、認知症かどうかを判定することとなった。

  これまでは免許更新時に認知機能検査を行い、「認知症のおそれあり(第1分類)」、「認知機能低下のおそれあり(第2分類)」、「認知機能低下のおそれなし(第3分類)」の三つに判定。第1分類と判定された人は一定期間内に臨時適性検査を受けていた。

  政府広報オンラインによると、75歳以上の運転者による死亡事故のうち事故前に認知機能検査を受けた5割近くが「認知症のおそれあり」「認知機能低下のおそれあり」と判定された。認知機能の低下が高齢運転者による交通事故に相当程度影響を及ぼすと考えられるという。

  事故抑止に効果が期待される一方、地方に住む住民にとって車両は重要な交通手段。本県では高齢者の多くが運転免許を所持する。認知症と診断されれば免許停止となるため、各自治体では高齢者を含めた将来の公共交通網の在り方へ模索が始まっていた。

  雫石町では、15年度に福祉等医療バスを廃止し、町独自の生活交通マイクロバス「あねっこバス」に組み入れて運行路線を8路線に変更。町役場を中心に放射状に広がる路線を形成し、地域の交通を担っている。

  八幡平市ではコミュニティーバスを乗車1回100円で市民に提供。バスの乗り継ぎ場所を作ることによる利便性向上を検討している。滝沢市は市の公共交通のマスタープランとなる「地域公共交通網」の策定を進めている。市内交通手段をまとめたバスマップを製作し、5月をめどに3万部を市民全戸に配布する予定だ。

  だが、公共交通網は継続した財政措置が必要となる。

  雫石町町民課の高橋賢秀課長は「町内の高齢者は免許保有率が高く、運転ができなくなると交通手段がなくなる。公共交通バスの乗車率が低下する中、自治体単独で循環バスなどの代替交通を運営するのは財政的に厳しい」と話す。八幡平市で運行するコミュニティーバス運行事業は、17年度一般会計予算に7905万9千円を計上。路線増は検討していないという。

  また、免許返納も地域によっては難しい。盛岡市は16年8月から免許返納にMORIO―Jポイントの付与を開始したが、車両に頼らざるを得ない地域では「医療機関や買い物に車両を使う住民から交通手段を奪うことになるのでは」と考える自治体関係者も。住民に積極的な返納を促せない事情が浮かび上がっている。

  ある自治体関係者は「住民も地域の公共交通の実情を知る必要がある。今回の改正法がなくとも、将来的に公共交通の必要性は高まる。利用率が低ければ公共交通は失われることを考え、住民と自治体が意識を変えて行動する時期なのかもしれない」と話す。


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