盛岡タイムス Web News 2017年  6月  15日 (木)

       

■  パンへの適性高め新品種 小麦「夏黄金」を育成 東北農研センター 今年から宮城が奨励指定


     
   ゆきちからと夏黄金を使用した食パンの断面比較。断面積で夏黄金を使用した食パンの方が大きく膨らんでいることが分かる(東北農業研究センター提供)  
   ゆきちからと夏黄金を使用した食パンの断面比較。断面積で夏黄金を使用した食パンの方が大きく膨らんでいることが分かる(東北農業研究センター提供)
 

 農研機構東北農業研究センター(住田弘一所長)は、東北や北陸など寒冷地向けのパン用小麦品種「夏黄金(なつこがね)」を育成した。本県をはじめとする寒冷地で栽培されているパン用主力品種「ゆきちから」を越えるパン製造への適性を持つ。同センター企画部産学連携室農業技術コミュニケーターの渡辺満さんは「ゆきちからと比較し、よりパンへの適性が高まった。病気への強さから栽培面でもメリットがある。広く栽培、利用が広がれば」と期待する。

  同センターが2002年に開発したゆきちからは、パン生地にすると膨らむ力がやや弱い準強力小麦であり、製造できるパンの種類が限定される欠点があった。そこで同センターでは品種交配によるタンパク質の組織改良に着手し、16年に夏黄金の育成に成功した。

  パンにした際の膨らみを示す比容積ではゆきちからの5・12に対し夏黄金5・82、食味試験(100点満点)もゆきちからの68・8点に対し夏黄金77・6点と、パンへの高い適性を示している。成熟期、収穫量はゆきちからと同程度で、ゆきちからに準じた栽培が可能となっている。

     
   夏黄金、ゆきちから、銀河のちから、ナンブコムギ(左から)の穂と粒の比較(東北農業研究センター提供)  
   夏黄金、ゆきちから、銀河のちから、ナンブコムギ(左から)の穂と粒の比較(東北農業研究センター提供)
 


  夏黄金は赤かび病や縞萎縮(しまいしゅく)病など、小麦に発生する病気に対する高い耐性も示す。また、収穫前に種子が発芽し、小麦粉の品質低下を招く「穂発芽」も発生しにくいため、収量の安定化にも期待がかかる。

  品種名には、初夏に収穫期を迎える小麦をイメージし、地域の繁栄と豊かな食生活への期待が込められている。17年からは宮城県の奨励品種に指定され、学校給食などでの利用も始まるという。

  夏黄金の小麦粉や加工品は、2019年から本格的に販売される予定。

  夏黄金についての問い合わせは同センター企画部産学連携室(電話643―3414)。


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