盛岡タイムス Web News   2017年 11月  4日 (土)

       

■ 〈体感思観〉 編集局 佐々木貴大 雨と闘うスポーツ選手


 
 10月22日の県高校ラグビー決勝戦と29日の県高校サッカー準決勝戦は、両日とも台風接近の影響を受け、雨の中で行われた。29日はこれまでの記者歴で最も強い雨の中での試合取材だった。第2試合の盛岡市立と盛岡商の試合に至っては、ピッチ上のあちこちに水が浮き、ボールは止まる、選手も踏ん張りが利かず倒れるなど、およそこれまでの記憶にない展開だった。

  サッカーとラグビーは、ルールに雨天中止、順延が規定されていない。落雷など選手や観客に被害が及ぶ危険がある場合に試合を延期、中断することはあっても、「基本的に雨天決行」が両競技の特徴だろう。

  「せっかくなら晴天の下で試合してほしい」という思いも確かに生まれた。しかし、それ以上に大きかったのは、選手たちの競技に取り組む姿勢に対する賞賛の思いだった。

  選手たちはこれまで練習してきた華麗なパスワークやドリブルができない理不尽な状況の中、何とか戦える方策を探し、懸命に勝利を求めた。両チームとも、1点目は雨の中でも精度を保てるセットプレーから生まれた。盛岡商の決勝ゴールは、足元の悪い中で見事にコントロールされたミドルシュートだった。

  スポーツには理不尽がつきものだ。今回のような天候不良はもとより、試合時に体調が必ず良いと限らない。練習した内容の全てが試合で出せるとは限らない。そんな理不尽を受け入れ、選手たちは目標達成へ戦う。選手だけでなく、必死に声を張り続ける応援団もいる。その声も、必ずしもチームを勝利に導くとは限らない。そういった理不尽を乗り越え、それでもなお力を尽くす精神性が、スポーツの教育的価値としてたたえられるのだろう。

  5日には、県高校サッカーの決勝戦が盛岡市永井のいわぎんスタジアムで行われる。試合である以上、勝敗はもちろん重要だが、それとともに理不尽に挑み続ける選手たちの戦いにも注目したい。

 


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