盛岡タイムス Web News   2018年   3月  8日 (木)

       

■  成果引き継ぎ今月末で閉所 東日本大震災から7年 しぇあハート村のマルシェ 学生寮生らと交流の場 市民有志が運営 イベント多彩に地域民と


     
   しぇあハート村マルシェで開かれる「11日の灯り」に向け、灯籠作りに励む地域の高齢者(2月11日、木津川さん提供)  
   しぇあハート村マルシェで開かれる「11日の灯り」に向け、灯籠作りに励む地域の高齢者(2月11日、木津川さん提供)
 

 もりおか復興推進しぇあハート村内にあるコミュニティースペース「しぇあハート村マルシェ」(盛岡市本宮5丁目)が3月いっぱいで閉じる。中心になって運営してきたのは、被災者と盛岡市民が自然に支え合う関係を作る市民運動「モーリオの空」を立ち上げた小田中由美子さん(71)と木津川正芳さん(62)。復興支援学生寮(シェアハウス)で暮らす沿岸被災地出身の学生や内陸避難者、地元住民を結ぶ交流拠点として親しまれてきたが、立ち上げから丸5年が経過。しぇあハート村と地域の関係性も深まりつつあり、成果を地元に引き継ぎ、次のステージに進むことにした。「震災は不幸な出来事だが、震災をきっかけに生まれた新たな絆もある。支援する側、される側ではなく、同じ空の下に生きる市民として手を携えていきたい」と力を込める。(馬場恵)

  マルシェは、しぇあハート村に暮らす学生だけでなく、地域の高齢者らが気軽に立ち寄る居場所としての役割を果たしてきた。震災犠牲者の月命日に当たる毎月11日には、手作りの灯籠をともして被災地に思いを寄せる「11日の灯(あか)り」を開催。震災を経験した書店員や視覚障害者、沿岸に応援派遣された市職員ら多彩なゲストが招かれ、集まった住民らが耳を傾けた。

  小田中さんらの声掛けで、沿岸出身の学生たちを囲むご飯の会や村内の草刈りなどには、地域の人たちも進んで協力。近所にある盛岡市立病院の保育所の園児たちが、しぇあハート村の畑で芋掘りをしたり、マルシェに集った子育て中のママたちが自主サークルを立ち上げたり、地域で自然に支え合うつながりが生まれた。

  しぇあハート村での交流イベントに欠かさず参加する「甘酒ガールズ」(本宮地区の80〜90代の女性6人の仲良しグループ)や、イベントでのおもてなしなどを手伝う「オレンジシスターズ」と呼ばれる応援団も誕生。オレンジシスターズのリーダーで、本宮地区民生児童委員協議会代表の菊地陽子さん(67)は「町内の人たちが、それぞれ、自分ができることで、しぇあハート村を応援するようになった。学生さんたちも、社会に出た後、地域の人の思いを感じてくれると思う。マルシェがなくなっても、復興支援学生寮が続く限り応援したい」と語る。

  なぜ、今、マルシェを閉じるのか。小田中さんは「本宮地区にはしっかりしたコミュニティーが既にある。自分のエネルギーが残っているうちに、もう一度、モーリオの空の原点に返って新しい活動を始めたい」と話す。

  ここ数年、しぇあハート村を拠点に、沿岸出身の学生や内陸避難者と地域住民とをつなぐ活動に力を注いできたが、気が付くと、自分が暮らす市中心部でも高齢化が進展。外との接点を作る手助けが必要な人が大勢いることが分かった。歴史ある建物が姿を消し、当時を知る人たちが次々と他界する中、若い世代に、生きたまちの歴史を語り継ぐ活動にも力を入れたいと考えている。

  木津川さんも「地域の人たちに支えられてここまでやってきた」と感謝。「被災者、支援者の垣根なく、どんな立場の人も一緒に支え合っていける活動を新たな場で続けたい」と語る。

  マルシェでの11日の灯りは、4月から、しぇあハート村近くの小規模多機能型居宅介護事業所かまどっこ(小笠原陽子所長)に引き継ぐ。小笠原所長は「大きなことはできないが、震災をきっかけに生まれたつながりを引き継げれば。これをきっかけに、事業所の利用者だけでなく、地域の人が気軽に来られる場所にしていきたい」と話す。

  マルシェでは最後の開催となる第66回「11日の灯り」は11日午後2時から。震災犠牲者を追悼し、トークと音楽で、これまでの歩みを振り返る。

  小田中さんらは4月以降も会場を変えながら「11日の灯(あか)り」を続け、活動の輪を広げる計画。4月11日は盛岡市大通のきのえね本店で開催する予定だ。


本ページ掲載内容の無断転載を禁じます
ホームページに関するお問い合わせ、取材に関する情報は
E-Mail:hensyuu@morioka-times.com
盛岡タイムス宛てにお願いします