盛岡タイムス Web News   2018年   6月  22日 (金)

       

■  八幡平市の副業受け入れプロジェクト 「スキルシフト」で人材求む 国内外の応募で成功例 Uターンや定住促進に期待


     
  採用を喜ぶ橋社長と関地域戦略係長(左から)  
  採用を喜ぶ橋社長と関地域戦略係長(左から)
 

 八幡平市が3月に始動した全国初の「副業受け入れプロジェクト」の成果が表れ始めている。昨年末に求人情報システム運営グルーブス(東京都)と提携。3月から同社サイト「Skill Shift(スキルシフト)」で、市内の宿泊施設や牧場、福祉施設など7社の副業八つを紹介した。全国・海外から36人の応募があり(3月末時点)、そのうち2人が元気に働いている。興味を示す地場企業が増えている一方、企業側の採用に関するノウハウと体制強化、費用的支援も求められているようだ。

  スキルシフトは、地方企業の副業を紹介するサイト。転職より気軽な副業で地方の仕事を体験してもらい、地方の移住・交流人口の増加につなげる。応募者は帰省や地方訪問、他社での就労によるスキル向上といったメリットを得られ、地元企業は都市部の高いIT技術、事業開発、人材育成などの業務ノウハウを享受できる。サイト登録やマッチング料が無料で、交通費は原則企業負担で応募しやすいのも特徴だ。

  八幡平市は同プロジェクトの下、全国に先駆けてスキルシフトに地場企業を掲載。7社のうち、同市平笠の宿泊施設、いこいの村岩手(橋義利社長)には、関東・台湾から17人の応募があった。

  温水プ―ルや会議室、グランドゴルフなどがある同施設は、企業の研修会、子ども会行事などの団体利用がメーン。個人・インバウンド(訪日外国人)の集客に、有用な案を示せる実行力のある人材を求めていた。

  30〜50歳代の6人と面接し、「いずれ実家の会社を継ぐため、地元でネットワークを作りたい」と応募してきた、東京都在住で盛岡出身の35歳男性を採用。関東の大学院を卒業後、世界最大手ガラスメーカーの開発、大手衣料品店の店長兼マーケティングを経験し、現在はクラウド会計システム会社に勤めている人で「地元思考が強く、地方の会社、既存の社員に適応できる」と見込んだ。

  3月から「ビジョン開発実現室長」として月2回出社し、営業・組織の強化、集客戦略の策定、施設内の改善を練る「経営刷新プロジェクトチーム」を先導している。率先して現場に立ち、社員とともに▽営業行動の指標化▽料理・宿泊サービスの改善▽ITの充実▽施設のレイアウト改装│などを推進。社長に対して早期に施設改革案を進言し、社員と協議して施設全体のビジョン「やすらぎの宿」、目標宿泊数を決め、事業力強化策を練っている。

  「5年間かけて必ず目標を達成すると言っている。生き生きと働いてくれ、社員のよい刺激となっている」と、いずれ自分の右腕になってほしいと望むほど、橋社長(75)は彼の活躍に期待を寄せている。

  スキルシフトでの採用については「応募者の意欲が非常に高い。採用で大切なのは、ポジションの明確化と相手の希望に添う姿勢。人員補充でなくコア業務を任せ、応募者のやる気を喚起させること」と強調している。

  市企画財政課の関貴之地域戦略係長は「当市の地理的条件での応募数はまったくの未知数だったが、想定以上の反響だった。成功例もでき、興味を持つ企業も多数ある」と成果を実感。同プロジェクトは同市の認知度を高め、総務省が推奨している「関係人口」増加にも貢献するとした。

  今後の課題に「採用のマンパワー不足」を挙げ、「都市部に住む応募者との面接にも費用が要る。良い人材を取り逃してしまわないよう、採用スキルを高める支援策を練り、参加企業を増やしたい」と意欲を見せた。
(飯森歩)


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