盛岡タイムス Web News   2018年   8月  18日 (土)

       

■ 〈体感思観〉 編集局 戸塚航祐 熱中症にご用心


 今年の夏は例年に比べて厳しい暑さが続いている。盛岡地方気象台発表の7月下旬の県気象旬報によると、同月21日から31日の盛岡の旬統計値は平均気温が26・3度。平年差で3度高く、日照時間は77・7時間で平年比147%という長さだ。内陸部の盛岡地域では熱中症の危険が連日高まり、救急車のサイレンを聞く機会が多いと感じる読者もいるだろう。

  熱中症は命に関わる危険性があると言われる。だが、高齢者などに話を聞くと、その危険性を把握している人は少ない。楽観視せずに、命に別状がなくとも脳や臓器に後遺症を残す場合もあると認識すべきと思う。

  全日本病院協会によると、重症度は@現場対応でできるまき度A病院への搬送を必要とするU度B入院して集中治療の必要性のあるV度の3段階に分けられる。

  最も重症のV度は、意識を失う全身けいれんや血液凝固異常などを発症する。急性腎不全や中枢神経障害、肝機能障害なども起き、死亡することも多いという。

  V度の熱中症では、体内の温度(深部体温)が40度を超える。日本救急医学会によると、40度を超える高温になると骨格筋細胞を構成する筋細胞が融解・壊死する横紋筋融解症が起きる。この時、筋細胞内成分が血液中に流出し腎臓に到達すると、腎尿細管を閉塞して急性腎不全を発症する。死亡するケースも多く、命が助かったとしても後遺症が残る場合もあるという。

  では、まき度やU度に危険性はないのだろうか。まき度の軽傷でも立ちくらみや筋肉の硬直が発生し、U度は吐き気や嘔吐(おうと)、虚脱感に襲われる。虚脱感は急激に意識を失う状態を指す。例えばバスや電車を待つ際に意識を失えば、道路や線路に飛び込んでしまうかもしれない。車両を運転していれば大惨事が起きるだろう。

  全日本病院協会によると、熱中症は野外で起きる印象が強いが、実際には住宅など居住施設での発症が、救急要請の30%を占める。取材ではトイレで動けなくなった高齢者の報告を耳にした。身体は加齢とともに体内の水分割合が少なくなり、暑さや喉の渇きを感じにくくなる。一人暮らしの場合は孤独死につながりかねない。

  こうした熱中症の手軽な予防には麦茶が重宝する。麦茶は体温を下げる効果もあるとされ、昔から飲まれてきた。カリウムが含まれており、不足しがちなミネラル分を補給できる。砂糖を入れて糖分補給も一緒にする地域もあるという。暦の上では夏も残りわずか。麦酒(ビール)が飲みたくなるが、麦茶を飲んで乗り切りたいところだ。



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