2017年12月の天窓


 2017年  12月  31日  ― 元日営業と初売りの今昔 ―
 昔から不思議に思っていた言葉に、「盆と正月がいっぺんに来たような忙しさ」がある。正月とお盆は休みだから、もしいっぺんに来たら忙しいわけはなく、ひまなのでは。もっとも「忙し」は誤用で、こちらのうろ覚えかもしれない。
▼ちまたでは実際、正月と盆は忙しい。県内も元日営業が定着し、サービス業は休んでいる暇がない。元朝参りを終えた足で初売りに並ぶ人も多いだろう。
▼初売りと言えば百貨店勤務が長い人に面白い話を聞いた。昭和のころ初売りとなればエレベーター、エスカレーター、階段でお客さんがドガドガドガと地響き立てて上の階に昇ってきて、店が揺れるほど。それが平成に入ってドンドンドンと少し弱まり、2000年代になったらドコドコドコ…今は初売りの靴音で建物が揺れるほどではなし、やはり高齢化社会で皆さんの足腰が弱ってきているのかもと。
▼首都圏では元日営業をやめ2、3日の初売りに戻す店が出てきている。年末年始が平日化し、祭日異動で毎月のように3連休があるし、盆正月のありがたみが薄れてきた。日本人の慣習にならい商機をうかがう方がよしとの考え方か、「働き方改革」のご時勢か。
▼煩悩は108つだが、端数の8は消費税みたい。じき10に上がる。梵鐘(ぼんしょう)ガツンとたたけば除夜です。

 2017年  12月  30日  ― 婦人の声に即応した法務省 ―
 「法務省」といえば庶民は、近づき難い厳とした構えをイメージするだろう
▼ところがそうではないらしい。過去にはそんな構えがあったかもしれないが、この年の瀬には同省が見せた一婦人への配慮、速やかな対応が明るい話題となって語り伝えられている。発端は先月、朝日新聞の投稿欄に載った74歳の女性の声だった
▼それは長く保護司を務めてきた夫の死去に伴い、法務大臣から届いた感謝状にまつわる妻の立場からの訴えだった。一読した妻は感謝状の文面に首をかしげたという。特に「(あなたは)犯罪者の改善更生と地域社会の浄化に尽くされました」の文言に違和感を覚える
▼「犯罪者」という表現は冷ややかで更生に励む当事者への配慮がない。「地域社会の浄化」も愛に満ちた温かい地域を目指していた夫の思いとは異なるし、そもそもこの地域には「浄化」を必要とするような深刻な課題はない、と
▼投稿にそんな感じたままの一端を書き、文言の見直しを求めた一婦人の声に対し、上川陽子法務大臣の動きは早かった。新聞掲載直後から検討に着手。「犯罪者」は「罪を犯した人たち」に、「浄化」は「犯罪や非行のない明るい地域社会の実現」に改めることを、今月22日の閣議後会見で発表したのだ
▼ほぼ1カ月での決着に多くが法務省を見直している。

 2017年  12月  29日  ― カタルーニャ出身のカザルス ―
 高名なチェロ奏者のパブロ・カザルスは1961年11月13日、時のケネディ米大統領に招かれホワイトハウスでピアノ、バイオリンを伴いメンデルスゾーンのピアノ三重奏曲他を演奏した。レコードやCDとなり、商業公演ではないにもかかわらず長時間の演奏を楽しむことができる。心に染みる大家の演奏だ
▼この日のアンコールは、カザルスの代名詞ともいうべき「鳥の歌」。スペイン・カタルーニャ地方の民謡で、カザルスにとって亡命せざるを得なかった祖国をしのぶ曲でもあった
▼カザルスがホワイトハウスで演奏したのはこの時が3度目だったという。長く公の場で演奏しなかったのは、フランコ独裁政権のスペインを国家承認する国へ抗議の姿勢があったためだ。84歳という高齢を押して応じたのは、故国が望む方向に向かう一助になると考えたかららしい
▼スペインでは今年、以前から独立意識のくすぶっていたカタルーニャ州で独立の是非を問う住民投票を経て独立宣言が出された。これに対し国は自治権を停止し州幹部を更迭、拘束した。国主導のこの21日の州議会解散選挙は独立賛成派が過半数を獲得。きょう生誕日のカザルスには今日がどう映るだろうか。ホワイトハウスの演奏でカタルーニャの鳥は青い空を飛びピース(平和)と鳴くとスピーチした。
  

 2017年  12月  28日  ― 池の大掃除勧めるテレビ番組 ―
 この一年を顧みると、ドッキリやわくわく感を狙うテレビのバラエティー番組で、急浮上したのはテレビ東京が本年1月に始めた「池の水ぜんぶ抜く」シリーズだろう
▼2〜3カ月に1度と不定期ながら常に日曜の黄金枠を使い、9月3日の日曜などは大胆にNHK大河「おんな城主 直虎」にぶつけている。結果は視聴率がNHKを上回り「池の水〜」の面白さに自信を深めているようだ
▼そんな他局との競争も楽しみながら回を重ね、この年末年始には日曜にこだわらずに、スペシャル版を見せるらしい。何分にも全国のあちらこちらには公園などに池がある。外来種の危険生物などが大量発生している池も少なくない
▼だからたまにはその水を全部抜きチェックするといいですよ、と呼び掛けるような番組なのだ。お笑い芸人の田村淳、田中直樹の司会進行も楽しく視聴者を魅了している。実はこの番組は企画段階ではテレビ東京社内でも賛否両論があり、特に着想のとっぴさに反対の声も強かったという
▼だが1年が経過し番組への好感度が、反対の根にあった不安も消している。池水の不衛生という深刻な課題に挑む社会派番組は社の誇りでもあろう。「池の水ぜんぶ抜く」は池の清掃であり再生への作業だろう。番組は歳末だけではなく常に池の大掃除を心掛けている。

 2017年  12月  27日  ― 記憶の手綱を手放すまい ―
 盛岡市松尾町の馬検場跡地の木造の解体話が持ち上がっている。高峰秀子主演、黒澤明が助監督の東宝映画「馬」の舞台になったところだ。
▼「馬」は古い映画で見る機会はあまりないが、サトウ・ハチロー作詞の主題歌「めんこい仔馬」は、日本人の耳に親しい。岩手の農家の「愛馬心」を、軽やかに歌い上げた。最後に馬市に送り、軍馬として出征することが知れる。戦後そこは歌詞を変えた。
▼全国市議会議長会長を務めた盛岡市の千葉正さんは、「岩手県からなんぼも馬が戦地さ行った。人と同じで我慢強い南部の馬がいねば、なじょにもならながった。その馬たちはみんな帰ってこねがった」としんみりする。
▼この悲しみを、千葉さんは田中角栄と語り合った。角栄は盛岡騎兵第3旅団の兵隊で、今も青山二丁目に残る赤レンガに勤務し、馬を世話していた。共に大陸に渡った軍馬たちの瞳が戦後ずっと、まぶたの裏にあったそうだ。
▼旅団のよすがは、盛岡市のふれあい覆馬場プラザとして生かされている。「角さん」も「世界のクロサワ」も、せっかく馬のゆかりで盛岡に深い縁があるのだから、馬検場の建物を何とか残せないものか。
▼新渡戸仙岳書の扁額が掛かり、大正から105年間、盛岡を見詰めてきた。街の記憶をたぐりよせる大事な手綱を失うまい。

 2017年  12月  26日  ― 大崎耕土が世界農業遺産に ―
 今はおいしいお米も全国各地で誕生しているから、さほど珍しくはない
▼でも54年前に宮城で掛け合わせにより、ササニシキが誕生した時には好評で親類に贈呈しても、お世辞ではないおいしさへの賛辞があった。産地の大崎市で農業を営む旧友に電話をすると「田んぼがよそと違う」と言い「見に来てよ」と誘われた
▼季節を選び3度訪ねたが確かによそでは、田んぼは収穫後の閑散期は乾燥させる。だが大崎方面では冬も含め水を張る。そこから「ふゆみずたんぼ」とも呼ぶこの水資源を管理した農法は、鎌倉時代の1264年に始められ伝承されてきたという。江戸時代には仙台藩が新田開発もしている
▼水資源を用いて土を耕すという原理にちなみ「大崎耕土」と称するこの田園地帯は大崎市と4つの町で構成。江合川や鳴瀬川などが冬水たんぼを支える。田に水が入るとイトミミズや菌類などが繁殖し土が肥える。日光を適度にさえぎる水中の微生物は雑草の成長を抑える
▼これらが相乗効果を高めおいしいお米が育つ。各農家を囲む屋敷林も趣のある情景を醸し出す。農水省はこの水田農業地帯「大崎耕土」に着目。今年9月には国連食糧農業機関に「大崎耕土」の「世界農業遺産」認定を申請。国連委員の現地調査を経て今月12日に東北初の認定が発表されている。

 2017年  12月  25日  ― 鎌田實氏の説く「忖度症候群」 ―
 医師の鎌田實氏は「どういうわけか、自由の国ニッポンに病的な忖度(そんたく)がはびこっています」と、「忖度バカ」(小学館新書)で指摘している。「忖度バカはなぜ、生まれるのか、ずっと考え続けてきました」「ただの流行語に終わらせてはいけないと思い」と、新著をまとめた動機を明らかにする
▼医者らしく、行きすぎた状態に忖度症候群の病名を付ける。その症状は視野狭さく、「記憶にありません」と現れる記憶障害、言葉をすり替えるような認知のゆがみ、過剰適応、トップに期待されているからと不正に手を貸す共依存、さらに忖度機能不全も挙げている
▼鎌田さんは、チェルノブイリ連帯基金や日本・イラク・メディカルネットのトップとして東日本大震災後の東北を含め、被ばくした子どもたちを中心に医療支援を展開している。がんばらないレーベルからジャズマン坂田明さんのアルバムを出し、活動の一部に充てる。福島第1原発事故の前と後にも忖度症候群を発見した
▼忖度が流行したのは首相と周辺、官僚などのモリカケ問題のゆえだった。が、粛正の怖い一党独裁の国ではない日本に病気がまん延していると危惧する鎌田氏。病気は「権力が集中する一強体制に生まれる」と指摘する。長いものには巻かれろは後ろ向きの言葉なことを思い出す。

 2017年  12月  24日  ― 今年の創作熟語決まる ―
 住友生命が公募した今年の世相を反映する「創作四字熟語」は、優秀作10編・入選作40編が決まった
▼それぞれ幾つかを紹介したい。優秀作品では天皇の「退位特例法」成立に寄せ56歳の男性が「世代皇代」と表現。権力を集中させる中国習近平体制を「中央習権」としたのは69歳の男性。世代交代・中央集権から漢字1字を変えただけの鮮やかな創作だ
▼藤井聡太天才棋士を奇想天外に重ねて「棋聡天才」とした応募者は、男性4人女性1人の5人もいて全員が受賞となる。一方、お盆を使う全裸の芸で爆笑を誘うアキラ100%さんを素材にしたのも、関東と関西の計2人の男性だ。お堅い森羅万象を「盆裸万笑」と崩して受賞している
▼入選作品にも巧みな創作がある。郵便はがきが10円値上げで62円になったことには、自分へのつぶやきとも他者への指示ともとれる「十円貼手(はって)」が素直でいい。赤ちゃんパンダの命名で動物園はその子を呼ぶ声でにぎわう。「呼子香香(しゃんしゃん)」と。下地にした「虎視眈々(たんたん)」は真逆だが
▼結びに秋篠宮眞子さまと小室圭さんの婚約内定を35歳の男性が熟語にした「月下想人」に触れたい。小室さんは綺麗な月を見るとうれしくなり眞子さまへ電話をお掛けするという。この逸話を表現した四字が実に奥ゆかしい。

 2017年  12月  23日  ― ウインドー・ジョブのすすめ ―
 盛岡市のマイクロ岩手がすてきなロールカーテンで会社をPRしているニュースがあった。盛岡情報ビジネス専門学校の曾原友美さんらの作品で、応募から最優秀賞を選んでカーテンにした。ファンタジックな色柄が、年の瀬の街を明るく照らしている。
▼最近は多くの会社が求人難で困っている。10年ほど前の就職氷河期に青ざめていた学生の姿は見られない。今の若い人はパワハラ的な社風はないか、年を取ってもやりがいのある職種か、就職先を注意深く見ているようだ。
▼日本一華やかな大企業と思って入ったら、「殺されても」などというスパルタをされてはたまらない、小さい職場でも自分らしく働き続けるよう願っているのでは。
▼マイクロ岩手は印刷の仕事を生かしてロールカーテンを考えたのだろうが、他の企業も自分たちの製品やサービスを生かし、街を明るくする工夫をすればいい。建設業ならまず自社ビルを名建築に、縫製業なら制服をファッショナブルにするだけでも、求職者に訴えるものがあるだろう。
▼商店街華やかなりし頃は「ウインドー・ショッピング」という言葉があった。ショーウインドーはお店にしかないが、事務所や備品はどんな会社にもあるから、まず企業自身がきれいに着飾り、人を求める「ウインドー・ジョブ」があっていい。

 2017年  12月  22日  ― 半藤氏の昭和史は逸話満載 ―
 半藤一利さんは月刊「文藝春秋」編集長も務めた作家で、昭和史の大家でもある
▼著書も多く代表作「日本のいちばん長い日 運命の八月十五日」は旧著を改めた決定版を1995年に刊行。同著は昭和天皇の御前会議で日本の降伏と大戦終結を決めた45年8月14日正午から、天皇が国民にラジオで戦争終結を告げる15日正午までの出来事を描き映画化もされている
▼この間には降伏に反発した一部将校らが暴発。同調しない仲間を殺害し総理私邸を全焼させ、玉音放送用録音原盤のありかを未明まで追跡。略奪は免れたが同著は終戦前夜を血で染めた現実もリアルに描写する▼半藤さんは「昭和史1926〜1945」(平凡社)など平和史シリーズも出版。それを原作にし漫画家の能條純一さんは「昭和天皇物語」と題した長編を漫画誌「ビッグコミックオリジナル」に連載している。当初は反響を案じたが漫画による皇室描写は好評で読者は共感の輪を広げてくれた
▼それに応え能條さんは単行本化に着手。今秋10月末には後に天皇となる裕仁親王の幼少期を収めた「昭和天皇物語」第1巻を小学館から発売している。明治天皇崩御の際、後追い自刃した陸軍大将乃木希典は親王の教育係。乃木が自刃前に親王に会いに行く切ない場面もある
▼そんな逸話満載の物語である。

 2017年  12月  21日  ― シャンシャンの一般公開開始 ―
 上野動物園で誕生したジャイアントパンダの雌の赤ちゃんシャンシャンが19日から一般公開されている。来年1月末までは抽選方式で1日約400組と制限される。その後に大混雑が待ち受けているのではないか
▼日に日に成長する時期だから、1カ月余りの差は大きいだろう。かわいらしさがマックスかもしれない今の時期にしっかり見られる当選者の皆さんは幸運な限りだ
▼中国の親善大使といえるパンダが日本で初めて飼育されたのは1972年。この年9月の日中国交正常化を記念し10月に雄カンカンと雌ランランが来日。飼育先となった上野動物園は来場者が殺到した
▼父は小学生だった妹を上野動物園に連れていった。長時間並んで見られるのは短時間というのがフィーバー中の実態だった。その時を逃したせいなのか、これまで一度も生でパンダを見たことはない。シャンシャンの写真や映像を見ると、赤ん坊のうちなら見てみたくなる
▼パンダの魅力は自然界が生み出した見事な白と黒の配置やバランスが大きいのではないか。人の世にも白黒をはっきりさせるべきことは多い。領土など外交・国際問題もしかり。だが性急な決着を求めるとバランスが壊れかねない。グレーな中で根気よく解決に向かっていく道とどちらを選択するか誤らぬようにしなければ。

 2017年  12月  20日  ― 車も勝負も店も支えるシステム ―
 IT(アイティー=情報技術)は、基礎技術も応用技術も日進月歩。ハンドルを握る運転手不在の無人自動車が、人を乗せて走る時代が到来しつつある
▼その無人自動車の実現を目指してきた愛知県は、今月14日に全国で初めて一般車両が走る公道で、遠隔操作型無人自動車の走行実験を成功させている。この車は緊急時には車載カメラやレーダーに基づき、離れた所から遠隔操作する担当者が、ブレーキ操作などで危険を回避するシステムを備えている
▼将棋の世界でもさまざまな棋士の巧みな多種多彩の「指し手」を網羅したネット上の「人工知能」が、有段者らにも活用されている。これも知恵のシステムだ
▼ところで無人自動車より早くコンビニ大手のローソンが動き出す。店主高齢化で24時間営業の見直しに挑むこの業界。ローソンは「午前0時〜5時レジ無人販売」を今月4日に発表。まずは来春に首都圏数店舗で始めるという。出入り口に認証装置があり事前登録者だけが入店できる
▼買い方は商品のバーコードを自分のスマートフォンで読み取り、支払いはスマホの専用決済機能を利用する。店は省力化でき利用者は簡潔に買い物ができる。始めれば新たな課題も出ようが双方が喜ぶ展開になるといい。ファミリーマートも店舗改革への構想を練っているという。

 2017年  12月  19日  ― 不発弾の厄払い ―
 先日、盛岡市の本町通で不発弾らしきものが見つかった。市内で空襲に遭ったのは盛岡駅前と厨川駅など、陸軍がいたのは青山地区だから、どちらも遠すぎる。何でそんなところに埋まっていたのか。まずは被害なく撤去されて良かった。
▼不発弾騒ぎは10年近く前にも肴町の一帯であった。たまに思わぬ場所で騒ぎになる。おそらく終戦直後、進駐軍や旧軍や役所や業者で物資をやりとりするうち、危険性なしとされた物がどこかにまぎれ、それが今になって掘り返されるのだろう。
▼しかし不発弾が全て腐っているわけではなく、戦後60年以上たって負傷者を出した事故はある。不用意に触らず、当局に処理を願うしかない。
▼雫石町で「清心尼」著者の松田十刻氏の講演に聞いた話。大坂冬の陣で徳川方が豊臣方を攻め、砲撃が勝敗の決め手になった。当時の砲弾は爆発力がないただの鉄球だが、大坂城に命中すると柱やはりを折り、奥女中が死ぬほどの被害だった。
▼盛岡は秀吉が南部信直に朱印状を授けたおかげで開かれた。わけても本町は開町以来の古い一帯。それから4世紀余り。きな臭い時分であるから、盛岡の領民安堵(あんど)のため、用心せよとのご先祖の警鐘やもしれぬ。南部の双鶴のご紋に平和を祈願したい。日本海の向かいの核も不発であるように。

 2017年  12月  18日  ― ヒット曲も作るはなわさん ―
 お笑い芸人のはなわさんは、作詞作曲もし自らも歌う
▼今秋9月には被災地大槌町の子どもセンターを訪問。小中学生らに夢を聞きながら、即興で作詞作曲しそれを歌い子どもたちを励ました。大槌を訪問させたのは震災で父を亡くした町内の若い人から届いた手紙だ
▼そこには父を失って以来絶望していたが、はなわさん作詞作曲の歌「同じ時代に生まれた若者たち」を聞いて希望が湧き、「是非大槌のみんなが元気になる歌を作って下さい」とも書いてあってそれに応えたのだ
▼手紙の主を勇気づけた先の歌は「偶然同じ時代に生まれた若者よ 生きていて楽しいと思えているかい?」と始まり《不安で眠れなくはないか難しく考えすぎちゃいないか》など長い歌詞が続く。結びには「僕らは生きる〜自分のペースで生きる〜死にたい時もあるさ〜だけど僕らは生きる」と説き続ける
▼はなわさんは家庭的な歌も作る。昨年、妻の誕生日に贈った「お義父(とう)さん」と題する歌はその代表作だ。妻が2歳の時に家を出たままの義父に、《あなたの娘は僕の妻で3人の子のママ。幸せな家庭だけを夢見ています。父を知らない娘の苦悩をあなたに伝えたい》などと歌い大ヒットした
▼この歌の公表前に親族から父との再会話が舞い込み実現する。はなわ流以心伝心だろうか。

 2017年  12月  17日  ― サケはこのまま通年で食べられるか ―
 「塩鮭の塩きびしきを好みけり」と詠んだ水原秋桜子は秋田の出身かと思いきや東京神田生まれの江戸っ子
▼秋田で塩引きと言えば、サケにたっぷりと塩をすり込んだ「ぼだっこ」。東京暮らしの時に知り合った秋田出身者がおいしそうに食べていたのを見て、同じものを食べてみたら顔がゆがむほどの塩辛さに椅子から腰を浮かせた覚えがある。まるで塩をかじっているような衝撃だった。ところが、くだんの知人は、塩で凝縮された小ぶりの切り身でどんぶり3杯のご飯を食べていた。秋桜子もこの秋田並みの塩引きを好きだったのだろうか
▼秋桜子には「乾鮭を切りては粕につゝみけり」という句もある。傷まないよう寒風でカチンカチンにした保存食だ。サケも年中食べられるようになったが、子どもの頃には宮古の知人から新巻ザケとイクラがお歳暮として届き正月の食卓が豊かに感じられたものだ
▼県によると、本県の秋サケ漁獲は11月末で4708d。昨年同期を下回り、特にここ3年は2013、14年の半分にも満たない極度の不漁と言っていいのではないか。さかのぼれば1990年代半ばには漁期に7万dの漁獲もあった。海洋の変化も考えられているが、東日本大震災後の不漁が深刻化している。養殖でなければ通年では食べられなくなるかもしれない。

 2017年  12月  16日  ― 私生活乱れる首長や議員 ―
 諸宗教は不倫などよこしまな男女関係を厳しく戒める
▼人の道としてもそれが道理なのだろう。今月9日付で辞職した伊達勝身岩泉町長の場合は、単独行為で一方的に女性記者が宿泊する町内ホテルの部屋を訪問。抱き付いたというのだから犯罪と言ってもよかろう
▼岩泉町は昨年、台風10号の豪雨に襲われ濁流が高齢者施設に侵入。入所者9人が犠牲になっている。町長は緊急避難指示を出さなかったのだ。当時取材した町民から「トップが緩んでいる。速断して指示していたら助かったのに」と悔やむ声を聞いたことを思い出す
▼岩泉町長の件が呼び覚ましたのか、福井県あわら市の現職市長の不適切行為も浮上。4年前に所用で市長室を訪ねた地元女性に複数回、その市長室や同乗した車中で一方的に体に触れキスをしたという。女性側から抗議され昨年1月にわび状を渡している
▼国政レベルでも入室者を家族に限定した議員宿舎に、国会議員がホステスなどを同伴同宿する行為が幾例も発覚している。笑止千万は中井洽(ひろし)議員だ。同宿常習者なのに民主党政権下で国家公安委員長を務めているのだ
▼3・11大震災発生直後には自民党のホープ後藤田正純議員が、被災地でなく宿舎にホステスと同宿していたことも判明している。自律不能なら厳罰が必要だろう。

 2017年  12月  15日  ― TPPの前途に多難 ―
 日本など11カ国でTPP(環太平洋経済連携協定)が大筋合意した。リーダー格の米国が抜け、日本がまとめる中小国だけのスタートには不安もあるようだ。
▼1世紀前の国際連盟も、言い出しっぺの米国抜きで発足した。第1次大戦の惨禍を繰り返さぬようウィルソン大統領が提唱したのに米議会が批准せず、英仏日伊の常任理事国で。共産ソ連も最初は除かれ、その後の世界を動かす両輪がそろわぬ連盟は多難だった。
▼事務次長の新渡戸稲造らの努力で小国の紛争は調整できたが、列強の利害による戦火には無力だった。日独伊ソが侵略戦争で順に脱落すると有名無実化し、第2次大戦を防げなかった。自由貿易の枠組みのTPPにそのまま重ねることはできないが、どちらも国際協調において日本に重責を求めた点は似ている。
▼トランプ大統領の米国抜きTPPなら将来、中国が加盟した場合、GDP差で日本は主導権を譲らざるを得ない。経済規模は当初の枠組みの半分以下で、各国にどれだけ日本製品の購買力がありや、輸出したがる方が多いのでは。農業や医療など賛否があった協定も、合意水準の低下で国内の危機感は薄らいでいる。
▼なおカナダはもやもやしているようだし、頼れる大国はない。日本の力が掛け値なしに試されてピーピー言わぬように。

 2017年  12月  14日  ― 被爆女性にノーベル平和賞 ―
 カナダ在住のサーロー節子さん(85)は、13歳の時に広島で被爆
▼独りぼっちでがれきの闇に閉じ込められていたら、「光の方へはい上がれ」と誰かが言う。隙間から差す光を目指しはい上がり助かる。だが姉と4歳のおいを亡くす。彼女はその悲哀を抱き成長。やがて在日カナダ人と結婚
▼カナダへ移住後も被爆体験を語り「核廃絶こそ平和への光」との心情を訴え続けてきた。近年は国際的な民間組織(NGO)の「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN=アイキャン)」にも参加。核廃絶運動に力を注いでいる。今年7月にはそれらが実を結ぶ
▼宿願の「核兵器禁止条約」が国連で採択されたのである。10月には採択に貢献したとして「ICAN」に今年のノーベル平和賞授与が決定。今月10日にノルウェーで行われた平和賞授賞式では、「ICAN」のベアトリス・フイン事務局長(女性)と、サーロー節子さんの2人にメダルと賞状が授与された
▼スピーチでは局長だけでなく被爆者の節子さんも登壇。「核兵器は必要悪でなく絶対悪だ」と指摘。禁止条約に冷淡な核保有国とその傘下にいる日本などを「共犯者」と断罪。13歳の脱出体験に重ね「今、私たちにとって核禁止条約が光です」と強調した
▼被爆者で85歳の力強い演説は世界の人々の胸を打ったことだろう。

 2017年  12月  13日  ― 今年の漢字は「北」に ―
 恒例の今年の漢字は12日、京都・清水寺で貫主が揮毫(きごう)し「北」と発表された。北からまず思い浮かべるのは北朝鮮だろう。今年の北朝鮮は核開発、ミサイル開発の度重なる実験で国際社会からかつてない非難を買い北風$ァ裁を浴びている。金正恩委員長の異母兄金正男氏がマレーシアで暗殺されたのも今年2月だった
▼毎年の流行語、新語はそのものの言葉なので想像にはさほどの苦労もいらぬが、その年を象徴する漢字1字が何になるのかの予想は難しい。今年もあれこれ考えて絞った「排」は外れだった
▼米大統領の入国制限政策、地球温暖化対策など国際協調への異議に限らず、欧州でのテロや難民、EU内の経済格差などによる保護主義と、世界では排除主義が拡大している
▼多くは自己第一(ファースト)に立脚する。都民ファーストを唱えた成功に気を良くした都知事。国政の場での勢力を伸ばそうとして希望を抱かせながら、しぼんだのはファーストと表裏の「排除」の論理だった。排除する壁は分断となり、作った側も反対側から排除される。排除されるべき排除は多そうだ
▼北朝鮮による拉致被害者増元るみ子さんの母親信子さんがこの日90歳で死去された。半島の分断がもたらした悲痛から、被害者と家族を早く解放させなくてはならない。

 2017年  12月  12日  ― 今年もジョン・レノンの歌 ―
 この時期になるとやはりジョン・レノンが歌う「ハッピー・クリスマス」がよみがえる
▼冒頭部分の「クリスマスがやってきたね 今年はどんなことをしたんだい」の一節は暗唱できる人も多かろう。ここは「行く年を顧みてごらん」と語り掛けているのかもしれない。直接的にはレノンがわが子2人に声を掛ける場面だ
▼英国でザ・ビートルズの主要メンバーとして活躍していたレノンは先妻と離婚。前衛芸術家・音楽家としてロンドンで活動していた東京生まれの小野洋子と、彼女の個展会場で出会い交際を重ね1969年に再婚する。歌詞には先の冒頭部分の前に次の1行がある
▼「ハッピークリスマスキョウコ ハッピークリスマスジュリアン」と。レノンが娘と息子に問い掛ける光景が目に浮かぶ。レノン一家は1970年のビートルズ解散後に、活動の舞台を米国に移す。当時は南北ベトナムによる内戦に米軍が介入。戦況が泥沼化していた頃だ
▼71年末発売の先の歌もそれを背景に、家庭的なぬくもりの対極にある戦争も直視。「いい年になるよう祈ろうよ 恐怖がない世の中であるように」と歌い皆が望めば「戦争は終わるよ」と繰り返す。反戦活動も展開。40歳の時に銃弾が彼の命を奪う
▼今84歳の妻ヨーコは遺志を継ぎ愛と平和を発信しつつ生き抜いている。

 2017年  12月  10日  ― 盛岡に文才の葉脈 ―
 今年の全国高校文芸コンクールは県勢が3部門最優秀賞の快挙。小説で盛岡三の佐藤風花さん、文芸部誌で同校の「黎 第十七号」、短歌で盛岡二の牛越凜さんが各部門の頂点に。夏には沼田真佑さんの芥川賞もあり、盛岡は文学の当たり年だった。
▼年を取ればとかく、「若い者はさっぱりだ」と繰り言が多くなる。自分は大したことないので、そんな偉そうな口はきけないが、新刊本をめくり、「とてもいいことを書いてる。著者はどんな人か」と略歴を見れば、ときに1980年代生まれとかで、びっくりさせられる。その若さで、よくこんな重々しいことを書けると。
▼賢治がなぜ10歳先輩の啄木にあまり触れなかったのか、ある説を聞いたことがある。当然、歌集は買って憧れていたが、怖い父にばれると、「そったな本買うため盛中さやってるんでねのだ」と叱られるので、口ごもったという。
▼文学史に権威づけられる啄木短歌も大正時代は、今でいうちょっとアブナいミュージシャンのCDみたいなものだったのかもしれない。受賞した牛越さんは、啄木と母校の先輩の歌人の大西民子に新鮮な目で敬意を払う。
▼読者の方も甲子園の野球のように、「高校生文芸だからこそ読みたい」となればいい。それが若葉の文才を光合成し、大樹に育むことだろう。

 2017年  12月  9日  ― 校則めぐる生徒の悪戦苦闘 ―
 学校の先生は教える立場だから、校則に掲げる原則を曲げない姿勢はあってもいい
▼ただ教えられる側への配慮を欠いた原則強要は生徒を困惑させてしまう。そんな事例が国内外で目立つ。生まれた時から髪が茶色だった大阪府立高の女子生徒は教諭から「茶髪はダメ。黒に染めなさい」と言われ染色を繰り返す。次第に頭髪はボロボロになる
▼染めを休み登校すると教諭は「黒染めをしないなら学校へ来る必要はない」とまた強要。度重なるその脅迫に無呼吸に陥ったこともある彼女は不登校になる。案じた母親が相談した弁護士の判断で、高3の彼女は今年10月に大阪府を相手に賠償を求め大阪地裁に提訴している。法の裁きに注目したい
▼海外でも英国デブォン州のある学校では猛暑が続いた今夏、「半ズボンで通学したい」という男子生徒に先生が言う。「校則では男子は長ズボン、女子はスカートか長ズボン。これが制服です」と。却下された男子たちは女性校長に直談判する
▼校長は「校則違反はダメよ。でもそんなに言うならスカートで来たらいいのに」と冗句でからかう。男子一同は言質を取ったとし順次、姉妹や近所などから借りたスカートをはしゃぎながらはいて、笑顔で登校する。校長はそれを見て「校則変更を考慮します」と真面目にコメントしている。
  

 2017年  12月  8日  ― 吉田類の酒蔵放浪記 ―
 テレビ番組「吉田類の酒場放浪記」は根強いファンが多い。人柄が画面からこぼれ落ちる魅力に吉田さんの代役はいない
▼国内の多くの酒場を訪ね数百あるいは千種以上の銘柄を試したはずの吉田さんが選んだ酒蔵の地酒を来年1月から毎月届ける「吉田類のにっぽん全国酒蔵巡り12カ月頒布会」の注文が受け付けられている。東北からは3蔵元が選ばれ、岩手からも酔仙の名がありうれしい。12蔵元を見ると、飲んだことのある蔵元は半分に満たない。地酒というだけに全国各地に蔵元があり、大半が地元で消費されるような製造の特徴を表している
▼以前はよく日本酒好きの内輪で地酒の会なる酒席を設けていた。旅の土産に買ってきて親しい仲間と語り合いながら飲むのも興。流通の発達した今は大手じゃなくても離れた土地の地酒を味わうことができる
▼食べ物も飲み物も流通のおかげで新鮮なもの、珍しいものが手に入れやすくなった。それはありがたいことだが、一方ではその土地で初対面したり再会のため訪れる楽しみの機会が減じられる。その土地の郷土料理に鍛えられた地酒を楽しむのが一番のぜいたくだろう。離れた土地の銘柄が気に入ったら蔵元の土地を訪ねてみるのが第2章か。酔仙を郷土料理と楽しもうと気仙を訪ねる人が増えてくれればと願う。

 2017年  12月  7日  ― 松元氏の「憲法くん」独演 ―
 芸人の松元ヒロ氏は65歳だが、舞台での演技ぶりは若々しい
▼今は憲法施行から50年目の1997年に初演し大受けした一人芝居「憲法くん」を各地で披露している。自身が憲法になり切って壇上を前後左右に動き、身振り手ぶりを交えしゃべり続けそれが人気を博している
▼かつては鋭い政治風刺が反響を呼んだコント集団「ザ・ニュースペーパー」で活躍したコメディアンでもあるこの人。憲法をネタにしたこの一人芝居でも経験が開花。政権批判の冗句も織り込んで笑いを誘う。独演冒頭では「私は姓は『日本国』で名は『憲法』と言います」と名乗る
▼次いで「だから《憲法くん》と呼んでね」と言い「でも年は70歳だからおかしいかな」と頭をかいて本題に入る。「実は憲法を作り変えるという動きがある。まずは9条に軍隊を置く根拠となる条文を加えるという」と
▼「安倍総理は現憲法は時代に合わないと言うが、憲法の重要な役目は政権の非を縛ることにある。政権が国民多数の合意もなく憲法を縛るのは邪道だ。発想があべこべだ」とも松元氏は指摘する。同氏が声高らかに憲法の前文を暗唱したことも聴衆の心を打ったろう
▼氏の過去の思想のぶれに懸念の声もあるが、憲法判断は妥当であろう。NHKも15年5月3日の報道で「憲法くん」を紹介している。

 2017年  12月  6日  ― 投票棄権者の2世、3世 ―
 県立大の齋藤俊明教授が選挙に関する大学生の意識調査をしたところ、「投票に行く」と明確な回答はわずか36・7%。県選管のまとめも似たような傾向だった。10月の総選挙後「平成デモクラシー」の見出しで、約30年間の県内衆参選の絶対得票率を計算してみたら、確かに近年は棄権者の割合が半分に迫っていた。
▼政治学者ではないので難しい分析はできないが、今の大学生の親の世代に棄権者が多いからだろう。国会の世襲議員に眉をひそめる人がいる。国民の方も棄権者の2世3世化が進んでいるのでは。
▼棄権の心理は学問的に解けば難しい。しかし意外に単純な話、家庭によって「人前で政治の話をするものでない。そういうことで大声を出すな」としつけられる人は多い。
▼投票率低下は先進国共通の問題。社会が高学歴化すれば人は抽象的な論議を好み、理論より経験知がものを言う現実政治を忌避し出す。働き盛りの職業人は専門知識の習得と人間関係のストレスに悩み、あすの仕事に無関係の政治日程など覚えていられない。この世には政治よりはるかに大事な真実があるという人も多い。例えば趣味とか。
▼ただ投票率が5割を切れば、もはや民意は反映されまい。その隙に危険な思想に次の世が襲われぬよう、18歳投票権を機にもっと対策を。

 2017年  12月  5日  ― 教育先進国スウエーデン ―
 スウェーデン王国では、6歳児までの幼児教育がほぼ無償で、義務教育も高校も大学は博士課程も含め授業料は無償だという
▼この教育先進国には「統治法」や出版・表現の自由に関する「基本法」など個別の法律はあるが、統一した憲法法典はない。王国だが王は「王位継承法」に基づき国の象徴として儀礼的職務だけを行う。今秋はこの国に魅了され国柄や歴史の解説書を読んでいた。そこへ興味深い資料が舞い込んだ
▼7月に衆院憲法審査会が、調査団(森英介団長)を欧州の英・伊・スウェーデンの3カ国に派遣。一行は10日間にわたり各国の改憲に伴う国民投票制度について、専門家と面談。現状や課題などを聞いてきた
▼森団長がまとめたその調査報告書が先月末日に発表されたのだ。スウェーデンの項には調査主題ではない「教育無償化」も詳述され参考になった。それによると同国の無償化政策には明文化した規定はないという。それが不要なほど定着しているのだろう。反対する政党もないという
▼子どもの就学が親の経済状況に左右されてはならないという考え方が、行政にも国民にも広く普及。それが無償化を支えているのだという。今は各地方が国の方針の範囲で自らの裁量で無償化を実施している。憲法法典がない国の独創的行政に今後も注目したい。

 2017年  12月  4日  ― 山本が日本代表初選出 ―
 来年のサッカーW杯ロシア大会の1次リーグ組み合わせが、日本時間の2日深夜に決まった。リーグは4カ国ごとに8組に分かれるが、2大会ぶりの決勝トーナメント進出を目指す日本がどの国と一緒かが注目だった
▼結果は欧州のポーランド、南米のコロンビア、アフリカのセネガルと同組。いずれも決定力のあるストライカーを主力に抱える強敵だ。コロンビアには14年大会で完敗。雪辱を晴らすに初戦は申し分ない
▼以前にも本欄で触れたが、W杯は強豪や格上ばかりの国が大半なことは自明。ただし、番狂わせがあるのもサッカーの面白さ。これから半年余りの間に十分な対策と戦術を練り上げてほしい。とはいえ戦うのは代表選手。個々のレベルアップがチームの向上につながる
▼今月の東アジアE│1選手権に向けた代表に盛岡商出身の山本脩斗選手が初選出された。大学卒業後にJリーグの磐田に入団も、けがにコンバートもあり主に控えに甘んじたが、14年移籍した鹿島では左サイドバックのレギュラーをつかんだ。代表入りを期待していた地元としてはようやくという思いが強い
▼代表のまだ固定しない段階だが、山本選手には32歳でめぐってきたチャンス。鹿島の小笠原満男選手(盛岡出身、大船渡高卒)以来の県人W杯となれば楽しみも増す。

 2017年  12月  3日  ― 宮古室蘭フェリー就航へ ―
 かつて北海道東部方面に5日ほど滞在する所用があり、移動に苦労したことを思い出す
▼訪問先の人に教わり花巻空港から飛行機で新千歳空港へ。そこで乗り換え女満別空港で降りて、迎えに来てくれた先方の車で現地へ向かう。だがなかなか着かない。こちらは焦る。先方は察知し「当地は広いからこの程度は普通。気にしないで」と慰めてくれる
▼70分も掛けて到着した後も所用対応で動くたびに彼の車の世話になる。詳細は省くが同じ所用で数年後に行った時は、マイカーで青森港まで走り、そこからフェリーで海峡を越え函館港へ。再びマイカーで道東へ向かう。長距離で疲労はあったが気遣いがないから心地良かった
▼さて大震災からの復興道路でもある県内三陸沿岸道路、宮古〜盛岡横断道、釜石〜秋田横断道が32年度完成を視野に整備が急ピッチで進む。南北縦断と東西横断の高規格道路が整うわけだ。車走行の距離も時間も短縮される
▼頃やよしとばかり川崎近海汽船社が昨年来準備してきた岩手宮古〜北海道室蘭を結ぶフェリーの就航が、来年6月22日と決まった。1日1往復で毎日運航(宮古港午前8時発。室蘭港20時発)。定員6百人でトラック69台乗用車20台積載可。運賃は大人が6千円からで等級がある
▼今度は所用ではなく観光旅行で船を利用したい。
  

 2017年  12月  2日  ― ミグとゼロの教訓 ―
 1950年開戦の朝鮮戦争ではプロペラ機に代わりジェット機同士初の空中戦が起きた。
▼米機の搭乗員は「のろくさいロシア人にジェット機など」とあざ笑っていたが、結果はソ連機の圧勝。先の大戦で破ったドイツの技術をものにしていたからだ。消沈する部下を古つわものがこう、たしなめた。
▼「10年前と同じだ。パールハーバーまで俺たちも『日本人にまともな飛行機など作れっこない。どうせ紙と竹製で飛ぶのがやっと、たこに毛の生えたもんさ』と鼻唄交じり。ところが戦争が始まり、あの『ゼロ』と『隼』が襲ってきた。バタバタ撃ち落とされるのは俺たち。のろくさいロシア人?お前らの方が10年間、何の進歩もねえってことよ」
▼よく日本は米国の巨大な物量を知らず無謀な戦争を始めたと言われる。しかし米国もまさか日本が自分たちより優れた飛行機を作り、空母艦隊で攻めてくると思っていなかった。最終的には米機が勝ったが、緒戦では星マークの翼が次々と散った。ちなみに朝鮮戦争でソ連製「ミグ15」にようやく勝った「F86」は、71年の雫石事故で県民の記憶に焼き付いた、あの機体。
▼現在の危機に、北朝鮮にこちらの力を見せつけろとは言わない。しかし相手の武力はよく見て知る、それが彼らの無謀な挑戦を退ける基本だ。

 2017年  12月  1日  ― ホームレス男性の善意 ―
 助け合いの歳末の月を迎えたが、先日はNHKなどが米国発の善意の逸話を報道した。それは助け合う心がにじむ実話で日本でも反響を広げている
▼今秋10月のある夜、27歳の女性Kさんは高速道路をマイカーで走り、高速の出口でガソリンが切れてしまう。ここからドラマのような現実が始まる。車は動かなくなりその上、現金も持っていない。車から降りて近くの給油スタンドに相談に行こうかと迷いながら歩き出す
▼近くにいてその経緯を見ていた34歳のホームレスの男性Jさんは、事情を察知しKさんに声を掛ける。「車に入りドアをロックして待っていて下さい」と。彼は日本円で2千円余の「最後の生活費」全額で買ったガソリンを缶に入れて戻り、車に給油してくれる。だがKさんに一円も要求しない
▼無事帰宅もできた彼女は野宿をして暮らす彼の善意に泣き、交際中の男性と共に恩返しを決意。お金も返し日用品も贈呈したほか募金サイトでJさんの生活支援のため1万ドルを目標に寄付を呼び掛ける。反響は広がり目標はすぐ突破
▼開始から2週間経過の先月下旬にはおよそ34万ドル(約3800万円)を超えている。受け取った彼は感謝しつつ人生を変えると誓う。元救急医療隊員だったことも思い出し普通に働くと決め、野宿にピリオドを打ったという。

2017年 11月の天窓へ