2018年5月の天窓


 2018年  5月  31日  ― 米朝首脳会談迫る ―
 トランプ米大統領は昨年9月の国連演説で、北朝鮮の最高指導者金正恩氏を、核ミサイル開発をもてあそぶ「ロケットマンだ」と指摘。「米国は強さと忍耐力があるが自国と同盟国を守るしかない状況では、北朝鮮を完全に破壊するしかない」と腹の内を明かしている
▼《できれば軍事行動が必要ないことを望む》とも付け加えてはいるが、世界には衝撃が走った。これに対し北朝鮮も金正恩氏が声明を発表。「歴代最も暴悪な宣戦布告であり、史上最高の超強硬対応措置の断行を慎重に考慮する」と反撃
▼「米国の老いぼれ狂人を必ず火で罰するであろう」と、トランプ氏を威嚇している。今、眼前にはこのトップ同士の応酬がウソのような展開がある。米国が一度は「中止」と宣言した米朝首脳会談が復活。予定通り来月12日にシンガポールで開催される
▼非核化を迫られている北朝鮮も孤立を避けるため、及第点は取りたいだろう。米国側が北朝鮮に求めている非核化の青写真は「検証が可能で、再び元へ戻すことのできないレベル」だという。そんな課題を抱え米大国と対座するため、既に準備に入っていよう
▼北の金将軍はお隣の文在寅韓国大統領に助力を頼んでいるようで、情報が飛び交い朝鮮半島はにぎわっている。しばし海の向こうの催事成功を祈り見守りたい。

 2018年  5月  30日  ― シンガポールの信義 ―
 シンガポールは達増知事の外務省時代の赴任地で、リッチな国のイメージ。以前、観光が専門の講師に、香港とシンガポールの比較を聞いた。どちらも英国が植民した中国系の港町。人口密度の高い小島で都市国家的に発展し、よく似ている。しかし観光地としては香港が一枚も二枚も上手だと。
▼シンガポールに行けば、「明るく清潔で日本より豊かな夢の国」と好感を抱くが、再訪する気を起こす人は少ないという。逆に香港は「きらびやかで活気があったけど、ちょっと汚いところも」といささか悪く言う観光客は多いが、そんな人ほど「また行きたい」と目を輝かすらしい。
▼その講師は、「シンガポール型では駄目。盛岡はきれいすぎて堅い街で、どっかその気がある」とほのめかしていた。観光地として今の盛岡はどうだろう。
▼シンガポールで初の米朝首脳会談は予定通りなら良い。トランプ大統領と金正恩委員長は今まで行ったことがあるか知らないが2人そろうのは確実に初めて。必ず1度は話してほしい。米朝韓日中5カ国に中立で、日本の意向もある程度は反映されうる国として会談が設定されたのだから。
▼せっかくのぞいた朝鮮半島の平和の芽を摘まないよう、お互いなるべく穏やかな語り口で会談を実らせないと、シンガポールで世界の信が問われる。

 2018年  5月  29日  ― アジサイ題名の文学2編 ―
 爽やかなさつきの空もやがて一転。梅雨の季節がやってくる。その頃にはアジサイも美しく咲くことだろう
▼先週末には梅雨到来に寄せて、かつて読んだアジサイを題名にした文学作品2編を再読した。一つは年配者ならご存知かと思うが、石原裕次郎主演で1960年に映画化もされた石坂洋次郎著「あじさいの歌」で、次のようなあらすじだ
▼ある春の日に河田と名乗る青年が道端で足をくじき苦しむ老人に会い、自宅へ送ることにし老人を背負って歩き出す。老人は偏屈で余計なお世話だと言わんばかりの態度で荒れる。老人宅に着くと娘が出てきたが青年は彼女の優雅さにひかれ戸惑う
▼老人が病院に行った後に招き入れられ彼女から、母の駆け落ちなど苦悩を聞かされる。彼女はあなたは氷室のような当家を溶かす「春の風です」と言い、彼も心が弾み庭に咲くアジサイの脇で彼女をカメラに収める
▼もう一つは泉鏡花著「紫陽花」だ。主人公は氷売りの少年で高貴な娘から「売って」と言われ、のこぎりで氷の塊を切るが何度切り直しても氷の色は真っ黒。娘は怒る。継母が炭を切ったのこぎりを持たせたのだ。少年は娘の手を引き小川へと走る
▼彼は黒い氷の塊を小川で洗い、小粒でもきれいになった氷を娘の口に含ませる。娘は「坊や、かんにん」とわびている。

 2018年  5月  28日  ― 真実見えないもやもや ―
 衣替えを前に初夏の白みの入った青空も緑をなでる風も心を軽やかにしてくれるのに、どうもすっきりしない。もやもやの原因は気象ではなく、真実が見えそうでなかなか見えない幾つかのことから
▼問題視されてからずいぶんたったのに、もやもやが増しているのが、森友と加計の安倍首相と周辺、担当省への疑念。加計学園の獣医学部に関しては、愛媛県が保管資料を何度か公表するも、名前の挙がった政府・国側の人々は是認なし。森友学園の件でも「ない」としていた文書が大量に出て、答弁につじつま合わせするため省内で廃棄指示があったというのにはあきれると同時に不信感が増す
▼日大アメフト部の関学大戦での悪質プレーでも、反則した選手が単独会見するも、翌日に前監督とコーチ1人が緊急会見。内容は教え子の学生の証言を否定するものだった。選手の発言は明瞭に感じたが、前監督とコーチの明快さを欠き、選手を守るためではなく、隠ぺいを疑ってしまうような印象を残した
▼愛媛県知事は、国や政府の反応に対し、改ざんする理由はなく県職員を信じていると一本の筋を通す。日大の前監督には少なくとも23日の会見から選手を守る姿勢は感じられなかった。もやもやもあらずの原因は、身を置くポストに望む態度との落差にもあるかもしれない。
  

 2018年  5月  27日  ― 司法取引を6月から導入 ―
 例えば裁判で通常は対立した位置にいる被告と検察官が、取引をし被告は罪状を認め捜査に協力。それによって求刑軽減や罪状取り下げなどの見返りを受ける
▼こうした双方のやり取りによる巧みな裁きを「司法取引」というらしい。ただ世界的には司法制度は国ごとにさまざまだから、導入の有無を含め対応も一律ではないだろう。例えば米国の場合は刑事裁判の大半で司法取引が定着しているというが、それが日本ではようやく来月1日に初めてこの手法が導入される
▼対象犯罪としては同じく1日に施行される改正刑事訴訟法が示す贈収賄や薬物・銃器犯罪などに加え、新たに独占禁止法違反などの経済犯罪を幅広く選定している。これは企業を含む組織的犯罪の捜査で新しい力になろう。ただきわどい捜査で虚偽の供述を生まないかという懸念もあるようだ
▼司法取引の相手はいわば罪人や容疑者で、その胸に腕を突っ込んで初めて成り立つ取引だ。彼らが語る闇情報やそっと手渡す物的証拠が役立ち、善人や浄財が守られることもあろう。「司法取引」で何度も手柄を立て減刑を重ね、すっかり善良な人になるケースも生まれることだろう
▼人が生き生きと生まれ変わるとすればその反響も大きかろう。「取引」という商売用語が、深く人生に関わっていく予感がする。

 2018年  5月  26日  ― 週刊アキタ廃刊に寄せて ―
 秋田市で39年間発行されたタブロイド紙「週刊アキタ」が、4月で廃刊した。社主の小畑伸一さんが86歳まで頑張った。
▼秋田県には101歳まで現役記者だったむのたけじさんがいたし、地方出版ではとびきり高質の無明舎とか、立派な論壇がある。むのさんが亡くなり、週刊アキタも廃刊し、隣県から見ても寂しい。
▼小畑さんはかつて産経新聞の政治部記者だったので、選挙や政局の記事が面白く、10年以上前までは結構スキャンダラスな見出しが躍っていた。県紙の「秋田魁」に張り合う記者魂には感服したが、かつて盛岡にあった月刊誌「地方公論」と同様、30万都市でこんなきつい記事を載せれば、当事者のリアクションはすごかろうと察する紙面もあった。
▼事情は分からないが、だんだん週刊アキタの筆鋒(ひっぽう)は鈍り、後継もおらなかったのか。何の前触れもなく突然、「1987号をもって廃刊」と、おわびの社告で幕引き。
▼北東北3県ともに人口急減が見込まれる時勢、秋田は県民の危機感がとりわけ強い。ただし宮城、岩手、青森3県のまたの名は「みちのく」でも、秋田県はそう呼ばれないように、出羽の人は昔から進取の気風に富む。週刊アキタ廃刊にも、次の新しい地域ジャーナリズムの登場を信じ、「ではまたね」と再会を祈りたい。

 2018年  5月  25日  ― 総理の初めに加計ありき ―
 愛媛県に獣医学部を新設する国家事業は、安倍総理の無二の親友が経営する岡山市の加計学園が昨年1月に受注
▼事業請負に手を挙げた他社もあったが入札も行わず、国が提示した条件にも合わず撤退したという。そんな経緯から「これでは初めに加計学園ありきだな」などとささやかれているうちに、獣医学部は今春4月に「岡山理科大学獣医学部」の名称で愛媛県今治市に開学した
▼獣医学部を中心にした大学の四国進出は意義があり地元の期待も大きい。それだけに次第に「初めに加計ありき」のささやきが広がり、「総理がお友達を優遇したのでは」とか「地位利用はなかったのか」などの陰口も消えないという。庶民には関心事なのだろう
▼安倍総理自身も敏感に反応。「一切関与はしていない」と言明していたが、庶民側も「では官僚が総理の友情を思い加計に決まるよう動いたのか」と逆襲しているらしい。そんな折に開学県として客観的に関与してきた愛媛県が、国会に提出した記録文書が注目されている
▼文中には2015年2月25日に安倍総理が加計孝太郎学園理事長と面談。獣医学部新設計画の説明を受けたとある。地位利用親友優遇発端の史実だが総理は否定。計画を知ったのは17年1月20日だとうそを言い出す
▼総理の「加計ありき」は国民は周知なのに。
  

 2018年  5月  24日  ― ルール守ってのスポーツ ―
 寺山修司さんの「あゝ荒野」が岸善幸監督の手で映画化され昨年公開された。不遇な2人の青年がプロボクサーとなる青春物という原作をベースに映画は2021年を舞台にした
▼主人公沢村新次は半グレ集団に属し、慕う先輩といるところを仲間に急襲され、このけんかで逮捕。服役を終えると、先輩は車いすバスケットを始め、襲った相手への恨みも捨てた。だが、新次は復讐に燃える。相手がプロボクサーになったと知ってプロになり、リング上で殺すため血のにじむ練習に耐える
▼ボクシング漫画「あしたのジョー」ではライバル力石徹が過酷な減量の肉体でジョーとの壮絶な試合の末に亡くなる。寺山さんらが中心となり力石の葬儀が行われた。スポーツには落命の危険があるが、相手を殺そうと臨む選手はいない。けがさせる目的の行為の時点でルールやフェアプレー精神から逸脱する
▼アメフトの日大と関学大の試合で選手に負傷させた悪質タックルが問題に。辞任監督が詳細を語らない中、反則した日大選手が22日会見し監督、コーチの指示と証言して謝罪した。日大選手は退場直後から思い悩み日大とは別に謝罪したという。関学選手の負傷に加え、青年の心に深い傷を負わせた。名前を出し会見するほどの青年をしても悪質プレーを拒めなかったのはなぜか。

 2018年  5月  23日  ― 福島支援米兵の被ばく疾患救済へ ―
 3・11福島大震災支援には、米国から力強い母艦がやってきた
▼韓国へ向け航行中だった空母「ロナルド・レーガン」が、向きを変え発災2日目には福島沖に到達したのだ。この空母を軸にした米国の救援活動は「トモダチ作戦」と呼ばれ、被災地で親しまれただけでなく、日本人も口にしてそこに感謝の言葉も重ねたことを思い出す
▼ところで福島の「トモダチ作戦」で誠心誠意被災者を守り、尽くしてくれた空母兵士たちが、アメリカへ帰国後に福島で浴びた放射能による甲状腺障害などで苦しんでいる。急性白血病や骨肉腫で亡くなった人もいる。そんな深刻な事情から訴訟も起きている
▼米国では昨年8月に157人が原発事故で被ばくしたとし、自国の裁判所に東京電力を訴えている。放射能汚染による疾患を治療するため、東電は5500億円を「基金」として用意するよう求めたのだ。だが裁判所は訴えを退けてしまう
▼震災時に大変世話になった恩人でもある米兵の苦悩を、先の裁判よりも早い時期に察知していた人物がいる。小泉純一郎元総理だ。2年前の5月に渡米し恩人たちと面談。彼らは医療費が高い米国では治療も無理と知り「支援基金」創設を決意
▼帰国後にまずは1億円を目標に有志を訪ね支援の輪を広げ、現況は目標を大きく超えているという。

 2018年  5月  22日  ― シンガポールの記憶 ―
 先日のテレビ「開運なんでも鑑定団」に、宮本三郎画伯の戦争画「山下パーシバル両司令官会見図」が映っていた。
▼太平洋戦争では山下奉文陸軍中将が、英帝国主義の拠点だったシンガポールを攻略し、パーシバル中将に「イエスかノーか」と降伏を迫った。まさに帝国の絶頂の場面から、亡国の幕が上がった。
▼山下中将は二・二六事件で岩手の斎藤實や高橋是清を倒した軍閥の黒幕にみられ、青年将校らに引導を渡さざるを得ず、テロを許さぬ昭和天皇に疎まれた。猛将「マレーの虎」はそんな負い目に、悲しみを深く押し殺していた。
▼「イエスかノーか」は、もたつく配下に「はっきり聞いて」と念を押し、慌てた通訳が英語で声を荒げた誤解によるらしい。山下中将は当時、国民歓呼の武勇伝を嫌い、「言うな」とかぶりを振った。敗将を脅すような人物にみられたくないと。やがて勝敗転じ、終戦後にマニラの戦犯法廷で弁解もせず刑死。結果的に日英両帝国は共倒れし、米ソが覇権を握った。
▼シンガポールで初の米朝首脳会談に臨むトランプ大統領も金正恩委員長も山下中将さながらの恰幅(かっぷく)で、イエスノー断じがちに見えるが、戦後70年余の冷戦の亡霊はまっぴら。東アジアの安全保障のため、もうごねず、なるべく「イエス、可能か」の姿勢で話して。

 2018年  5月  21日  ― 銃乱射事件 ―
 米国で頻繁に発生し多くの命を奪う銃乱射事件。銃業界に気兼ねして厳しい規制に踏み出せないでいる米政権の弱腰が情けない
▼今年に入り2月14日にはフロリダ州パークランドの高校に、問題行動が多く同高を退学処分された男が乱入。銃を乱射して生徒ら17人が命を奪われている。トランプ大統領は直後に生存した生徒の代表らをホワイトハウスに招待。激励し懇談をしている
▼生徒から「戦争の武器がなぜ簡単に買えるのか」との質問もあり大統領は「購入時の身元調査強化」を約束したという。一方「教師が拳銃で防戦すれば乱射はたちまち終わる」と、大統領は教師に拳銃を手にした戦闘を求めるという破天荒な自論も言い放つ
▼純粋な高校生の疑問にも銃で戦う構図を示すなど、業界を喜ばせているようにも見える。業界を気にするより国民の不安を取り除く姿勢がほしい。事件も多発している。18日にもテキサス州ヒューストン近郊の高校で、単独犯による銃乱射が発生した
▼教室は血の海となり生徒10人が犠牲になる。犯人は在校生の男子で現場で拘束された。省みれば刀も銃砲も人命殺傷の武器として登場した。しょせんは人の命を絶つ凶器にほかならない
▼それが昨今は学校に乱入している。日本も油断なく警備体制だけでなく根絶を目指す対応を急ぎたい。

 2018年  5月  20日  ― 岩崎家ゆかりの地の広がりを ―
 日本有数の民間農場の小岩井農場は、小野義眞(日本鉄道会社副社長)、岩崎彌之助(三菱第2代総帥)、井上勝(鉄道庁長官)の創始者3人の名から取られ、1891年に誕生した。井上は日本鉄道の父と呼ばれ、近代国家の基盤を敷設。この地を訪れたのも鉄道事業のためだった
▼井上は、この不毛の原野を目にし大農場造営に突き動かされた。鉄道敷設で農地をつぶしていったことが背景にあったといわれる
▼この思いを2人に説き、財閥の岩崎から出資を受け、農場整備が実現した。99年に岩崎家の所有となり、現在は小岩井農牧の経営となっているが、三菱との関係は続く
▼この農場は種牧畜や林業など多角的な事業が展開されることで、単なる生産の場を超えて、変化に富む景観を形成することになった。観光事業により市民に身近な存在となっているが、本来の産業を生かしたもの。約130年にわたって営みを続けてきた先人と精神を継承する経営理念に頭の下がる思いだ
▼農場の3分の2が位置する雫石町と東京都台東区、高知県安芸市、千葉県富里市の4自治体で先日、岩崎家ゆかりの地広域文化観光協議会が設立された。彌之助と第3代久彌に関わりが深い。姉妹連携ではなく、離れた4市区町の取り組みがうまく船出し、さらに広がることを期待する。

 2018年  5月  19日  ― 自転車利用者を増やす動き ―
 この国では昨年の5月に「自転車活用推進法」を施行。以来政府は「皆さん、自転車を大いに活用しましょう」と国民に呼び掛けている
▼法施行を受けて自転車活用の推進本部長に就いた石井国交大臣は抱負を語った。「自転車は環境に優しい交通手段であり、災害時の移動や国民の健康の増進、渋滞の緩和等にも資するもので、環境・交通・健康増進等が重要課題になっているわが国にとって、自転車活用施策の充実が一層重要になっています」と
▼さて趣旨は分かったし通勤通学から買い物までを既に自転車でしている家では、この政府方針に「毎日活用していますよ。ご褒美ちょうだ〜い」と冗句を飛ばす人がいるかもしれない。逆に老齢で体力が衰え車なら運転できるが、自転車は駄目という人もいる
▼自転車利用者を増やす活動では先のように移動手段が決まっている二通りの人たち、特に車運転の老齢者にも温かく理解の声を掛けながら進めてほしい。地域の自治体組織などの力を借りれば、自転車利用者増はさほど難しくないかもしれない
▼当方地元でも報道で自転車増の動きを知った50代の主婦が、物入れかご付き自転車を購入。息子の車頼みだった買い物も今は自らペダルを踏みスーパーに通っている。地域でも話題になって後に続く動きもあり注目している。
  

 2018年  5月  18日  ― 地名は文化と財産 ―
 矢幅駅前に岩手医大ができ、矢巾町の藤沢や西・東徳田で新名称の「医大通」に変わろうとしている。町が大きく新しくなっても地名は大切。矢巾町なら特に又兵エ新田の名は永遠に引き継いで欲しい。
▼毎日新聞の紙面によると、平成大合併で役所の本庁がなくなった旧市町村の人口が2000年から15年間で17・5%減った。国全体が人口減時代に入り、公共部門の合理化でやむなしといえばそれまでだが、合併による地名喪失も大きく影響しているのでは。
▼合併特例法に基づく地域自治区の時限で、盛岡市内では玉山の枠組みが消えてしまった。同様に奥州市でも、水沢や江刺など歴史の重みある地名が歳月とともに忘れられていくなら、岩手の文化にかかわる。
▼八方美人でわざとひらがなにして合併した地名より、又兵エ新田のように強烈な語感の地名を守りたい。矢巾の歴史をひもとくと、南部藩初期に足軽30人を預かった家臣の五日市又兵衛が開いた新田の功労を、村人たちがたたえて後世に伝えてきた。
▼なのにこの前、残念な話を聞いた。矢巾町のある人が都内に泊まり、宿帳に「又兵エ」は田舎くさいと、「岩手県盛岡矢幅駅前」と書いたとか。そんな地名ない。又兵エ新田のいわれは知れずとも、良い土地柄であることは、きっと以心伝心で分かるはず。

 2018年  5月  17日  ― 喜寿の麻生さん、良質の冗句を ―
 麻生太郎さんは肩書は重いが、失言居士とも言われるように、語る言葉は相変わらず軽い
▼先月は財務省の事務次官による女性記者に対するセクハラ疑惑が発覚。記者は執拗さに耐えかね次官の言葉をテープに録音していて、非を認めた次官が辞職したことは既報の通りだ。ところが麻生さんは「辞任した次官が女性記者にはめられた可能性も否定できない」と言い続けてきた
▼今月の衆院委員会でも同趣旨を述べている。これは失言というより女性記者に対し失礼千万な憶測発言であろう。単純なひらめきを熟慮もせずに言葉にしてしまい、笑いを誘うレベルなら愉快な失言で済むが、相手の人格を侮蔑するような言葉は慎むべきだ
▼それに気付いたらしく麻生さんは14日には次官辞職事案をわび、女性記者への発言も謝罪し撤回している。一方顧みると麻生さんは昨年8月末に「悪」を肯定するうっかりミスをしている。講演で「何百万人を殺したヒトラーはいくら動機が正しくても駄目だ」と言ってしまったのだ
▼ナチスによるユダヤ人大虐殺を「動機は正しい」と擁護したとも解釈でき、野党などが猛反発。麻生さんも翌日には発言を撤回する。この人が「暴走老人」と称されるようになったのはその頃からだろうか。麻生さんも77歳。喜寿らしい良質の冗句を聞きたい。

 2018年  5月  16日  ― 文学賞のスピーチ ―
 トランプ米大統領はノーベル平和賞を狙っているとの憶測も耳にする。朝鮮戦争の終戦が実現すれば声が上がるかもしれないが、昨今の中東政策などを見れば現実味に欠ける印象だ
▼アルフレッド・ノーベルは、実は幼少から詩など文学に親しんだらしい。ノーベル賞に科学分野の各賞があるのは当然だが、開発事業と兵器製造のダイナマイトの二面性からの平和賞とともに文学賞が設けられたのも、生い立ちが反映されたのだという
▼今年の文学賞発表延期には村上春樹さんの受賞を何年も待望するハルキストに残念な思いをさせている。延期は村上さんに有利かといった話題も出ているが、毎年の発表時期の盛り上がりには及ばない
▼村上がエルサレム賞を受賞した際のスピーチに賛否両論があったことを記憶の方も多いのではないか。イスラエルの賞のため政治的な問題と絡められるのは避けられず、エルサレムの授賞式への出欠から話題になった。過去にイスラエルの政策への反感から欠席した受賞者もいた
▼ノーベル文学賞ではおととしのボブ・ディランさんが世界的な注目を集めたが、代理人がスピーチを代読。謙虚な内容という印象だった。スキャンダルで延期された今年だが、できれば発表し、受賞者がどんなスピーチをするのか例年以上に聞いてみたかった。

 2018年  5月  15日  ― 活躍する盲目の漫談家 ―
 盲目の漫談家として地歩を固めてきた濱田祐太郎さん(28)は、今春3月のピン芸人日本一を決める「R-1ぐらんぷり2018」で優勝。神戸市生まれの関西弁でしゃべりまくる漫談で「ひとり芸日本一」の王者となった
▼濱田さんは生まれた時から目は見えなかったが耳は聞こえた。小学6年の秋にテレビから流れるしゃべくり漫才を聞いて面白くなり、やがてこのお笑いにはまり込む。中学生の時には将来は漫才の芸人になると決心する。高校は県立視覚支援校に進み指圧・はり。きゅうの国家資格を取得する
▼卒業後には資格を生かしたバイトで夢実現のために資金を蓄える。こうして12年4月には大阪の吉本総合芸能学院に入学。盲目ながら懸命に努力し翌年4月には、晴れて漫談家としてデビューを果たす。以来、白杖を持ちスーツ姿で舞台に立つ独自のスタイルで、しゃべくり漫才を披露してきた
▼幾多の創作ネタもあるので結びに軽く紹介しよう。「芸人に憧れ吉本に入ったら盲目の目どころか、自分の将来も見えなくなりましてね」もその一つ。「R‐1ぐらんぷり決勝戦の前に、優勝して賞金5百万円をもらったら何に使うかと聞かれ、やはり目が見えてなくて免許もないのに高級車を買うと答えた」というネタもある
▼盲目の漫談家らしく目を巧みに使う。

 2018年  5月  14日  ― ギブソンが経営破綻 ―
 老舗が商いを畳むのは寂しいものだが、まさかというのが米国の老舗楽器メーカーのギブソン・ブランズの経営破綻。同社のギターは特にポピュラー音楽のギタリストに愛用され、ギター少年少女にも憧れのブランド。エレキギターではフェンダーと双璧を成し、音色の特徴で好みが分かれるくらい、それぞれの信奉者が多くいる。音楽ファンにお気に入りのギタリストの愛器が何かは関心事だ
▼ギブソン社はギター製作から始まったが、事業の多角化で経営の上向きを図ろうとしたようだ。結局、主旋律以外のオーディオなどが足かせとなって負債が膨らみ、和音≠ェ響かなかったということか
▼ギブソンのエレキギターを語るとき一緒に名器を作り上げモデル名になったレス・ポールは外せないが、愛用者としては5月14日が命日のブルース・ギタリストのB・B・キングが筆頭格か
▼ギブソンの経営破綻は、米ポピュラー界のギター需要減が背景にあるらしい。「打ち込み」音がポピュラーになり電子楽器が拡大、音楽の流行も変化した。ギブソン社は廃業ではなく原点の楽器事業に専念して再起を図るとのことだが、市場を考えると容易でない。ギター少年の憧れはまずギタリストの演奏、その先にギターが来た。憧れられる名手の新たな出現がギターの救世主か。

 2018年  5月  13日  ― 人生の閉じ方さまざま ―
 理解しがたいが、生きることが苦しくなり指定病院で致死量の麻酔薬を注射。人生を終わる自殺型安楽死を認めている国がある。欧州に4カ国と米国の一部地域だ
▼そこを先端国というべきか、野蛮国と見るべきかは意見が割れる。日本のように一生を生老病死という命のリズムとして肯定し尊重してきた視座からは、薬で命を絶つという着想には違和感を覚える人が多いのではなかろうか
▼日本を含むアジア諸国には濃淡の差はあれ、人生の四苦八苦を心の鍛錬で達観し克服していく仏教的思考が伝承されてきている。それをかすかにでも意識するアジア人なら、露骨な自殺による保証もない「安楽」への逃避ではなく苦闘中の折々にも「安楽」を感じる境地へとかじを切ることだろう
▼ところで世界では新たに「尊厳死」型と称する人生の閉じ方が登場している。こちらは趣旨への賛同が多く米欧にアジアも加えた地域で16カ国が認め推奨している。古くから用いられている「延命措置をやめる」という手法が基本で病院も協力。自身の尊厳を保ちながら最期を迎えられるという
▼一方、過日はオーストラリア居住の104歳の科学者が健康なのに死を決意。スイスに飛び著名な自殺型安楽死病院で注射により死去。選択が気の毒で思わず合掌し心から冥福を祈り天を仰いだ。

 2018年  5月  12日  ― 遠野と八戸のえにし ―
 4月末に遠野市のさくらまつりで、「清心尼」の本を売ってきた。毎年、清心尼の遠野入りの大名行列を八戸と連動して再現している。
▼家内の実家は青森県おいらせ町、母の実家は大船渡市なので、たまに三八上北と気仙の風土を見比べる。三陸も広く青森県南と岩手県南は遠すぎ、南部と伊達で交わりは薄い。しかし八戸のえんぶりの色合いなどに、どこか気仙ぽい派手を感じることがある。やはり遠野を介して文化の伝播があったのか、なんて想像してみるのも楽しい。
▼八戸市で歴史的な活動をしている人は、遠野市と紫波町への親近感を口にする。遠野は根城南部、紫波は八戸藩の飛び地の縁。盛岡が蚊帳の外では寂しいから、素通りされないよう仕掛けがいる。
▼清心尼の一族郎党が遠野に国替えになったのは利直公の代1627(寛永4)年。あと9年後の2027年は400周年だ。八戸、遠野、盛岡に紫波も加えた4市町として何か記念できるよう、そろそろ広域で検討したい。その頃には復興で三陸自動車道も相当出来上がり、沿岸ルートの交流も活発化しているだろう。
▼松田十刻原作、女大名のドラマや映画はいかが。本県のため頑張ってくれている、のんさんもその頃は大女優になっているかな。「あまちゃん」から清心尼へ。ベストキャストだ。
  

 2018年  5月  11日  ― 醜聞でノーベル文学賞延期 ―
 性的な嫌がらせや暴行を受けた被害者の女性が、世界各地で戦っている。「もう泣き寝入りはしない」と
▼米国の映画の本場ハリウッドでも20人を超える有名女優やモデルが、数々のヒット作を手掛けた大物プロデューサーの男から受けたセクハラを告白。それに勇気づけられて「私も!」と多くの仲間が立ち上がる。昨年11月にはハリウッド中心部を被害者ら数百人がセクハラの非を叫び練り歩いた
▼プロデューサーは解雇されたが「私も!」という告白はネットにも投稿され、セクハラは許さないとの叫びの輪は世界に広がる。日本でも女性記者の勇気ある告白で、セクハラが判明した財務省事務次官が辞職している。この高官の醜態を嘆いていたら今度はスウェーデン・アカデミーからあ然とする速報が届く
▼同アカデミーは毎年10月にノーベル文学賞受賞者を発表しているが、何と女性選考委員の夫が不祥事を起こし選考委員会会長と委員5人が辞任。そんな事情で今秋の受賞者発表は見送り来年秋に19年受賞者と同時に発表するというのだ
▼女性委員の夫は18人もの女性から、性的暴行を受けたと訴えられていたというのだから言葉を失う。男性大半は不潔ではないのにハリウッドにも、アカデミー近辺にも鬼畜がうろついていたのだ。今後も目を光らせ壊滅させたい。

 2018年  5月  10日  ― 3代目の法則 ―
 鎌倉、室町、江戸の3幕府に通じるものがある。1代目と3代目が歴史に残り、2代目は影が薄い。鎌倉は頼朝・実朝、室町は尊氏・義満、江戸は家康・家光。飛び石で日本史の教科書に太く載っている。
▼ただし源実朝は不滅の大歌人ではあったが、まつりごとには気もそぞろ。この人が暗殺されるや鎌倉の将軍は名ばかりとなった。創業の初代が政治と軍事をつかさどるのは当然として、3代目ともなれば文化のほか経済も目配りしないと、天下人の道はおぼつかない。
▼南部藩は初代の信直公と2代目の利直公が名君。3代目の重直公は人間味あふれる方であったが、江戸で羽目を外しすぎて亡くなり、あわや藩取りつぶしに。盛岡と八戸に分割という公儀の沙汰に落着し、3代目の危機を乗り越えて長期政権の道が開かれた。
▼北朝鮮の金正恩委員長と韓国の文在寅大統領の南北首脳会談に伴い東アジア情勢が動いている。委員長は金王朝の3代目。2代目の金正日はどうも暗君で、内外めちゃくちゃな政策で国を孤立させた。
▼子息の場合、首脳会談までの国際的な駆け引きや振る舞いを見ると、人民を弾圧し親族をむごく粛清する暴君でも、どうやら暗君ではなさそうだ。かの君の「暴」が「暗」ならず、「名」になる覚悟があるなら、国民の相次ぐ亡命もやむだろう。

 2018年  5月  9日  ― 大リーグで戦う大谷翔平 ―
 奥州市出身の大谷翔平投手は、日本ハムを経て投打二刀流を掲げ渡米。米大リーグのエンゼルス球団に所属し、今季も投打で活躍している
▼既に3、4月は有力選手を抑え「月間最優秀新人」に選出されている。今月3日の対オリオールズ戦では大谷投手が、「5番・指名打者」として先発出場したが、4打数無安打に終わった。だが大谷は好走塁などで10対7というチームの勝利に貢献している
▼大谷は4回1死無走者での第2打席で、1塁手の失策があって規定により出塁となる。次の打者であるシモンズが力強く打った左翼へのライナーは、左翼手が飛び込んで捕えようとしたがかなわず、ボールはフェンスまで転がっていく
▼大谷はそれを見逃さずに1塁からホームまでを超激走。スライディングをして3点目を獲得している。大谷が野球人として命を懸けるように全力疾走をして、本塁ベースに到達した光景は映像で見ても心を揺さぶられる
▼翌日のオリオールズ戦でも大谷投手は「5番指名打者」として活躍している。この日は適時打を含む3打数2安打1打点と打力も戻り、12対3と圧勝し3連勝したチームの主軸となっている。7日のマリナーズ戦で大谷が投げて勝利との速報も入った
▼プロ野球の本場アメリカの大リーグで活躍する県人投手の存在は誇らしい。

 2018年  5月  8日  ― ラグビーW杯開幕まで500日 ―
 「プレーを貫く軸をミスをなくすという考え方よりも、チャンスを生かすほうに置いています」とは、おととし亡くなったラグビーの平尾誠二さんの語録の一つ。平尾さんは高校、大学、社会人と所属チーム全てで日本一を経験。日本代表監督当時のワールドカップ(W杯)の成績は振るわなかったが、まかれた種の成長を2015年W杯で確認できた
▼平尾さんのチーム作りは、チャンスを生かす方向性が如実に表れていたように思う。ミスを恐れて何もしなければ成長は望めず、チャンスの挑戦が成功すれば試合中のチームの前進につながり、たとえミスになっても成長させる機会を生む。前例のないことに信念と勇気を持って挑戦したプレーや作戦、あるいは組織作りは、見る側にも楽しみを増やした
▼来年9月20日に日本で開幕するW杯へ8日で500日前となった。きょうは競技会場となった釜石市ではイベントが行われ、PRキャラバン隊の出発式もある。今から機運醸成を加速し日本開催のチャンスを生かしたい
▼平尾さんは「スポーツに自己犠牲などありえない。自己を生かすことがチームを生かすことだ」とも。自分の体を相手にぶつけて味方ボールを生かし前進させる競技らしい考え方だが、「犠牲」と捉えるか「生きた」と捉えるかで気持ちは全く違う。

 2018年  5月  6日  ― 漱石の思い出 ―
 文豪の夏目漱石は1916年に49歳で他界
▼その後に鏡子夫人は漱石との間に授かった2男5女と共に、悲喜こもごもながらにぎやかに過ごした21年間を、感謝を込めて回顧。思い出をつづった本を作ろうと決心する。自身が語る思い出を長女の婿で、作家でもある松岡譲が筆録する作業も始めた
▼全て手作業の時代だから時間を要したが、1928年に改造社から出版できた。昨今は題名にある「ひ」を「い」に改めて、文春文庫などから刊行されよく読まれている。詳細は本で読んでいただくとしてここでは簡略に断片を紹介したい
▼語る声は鏡子夫人だけでなく文人仲間からも寄せられている。往時の漱石は胃弱などの健康問題もあったが、深刻だったのは家庭内の暴言暴力でそれが妻に集中するのだ。寺田寅彦からたしなめる声が届く。「何でも細君のいうことをウンウンと聞いてやって、そうしてデレデレとしていればこれに越したことはない」と
▼漱石も暴れた後は葛藤し再起を目指しただろう。自他の人間観察もしてそれが作品に反映することにも気づいたはずだ。妻もそんな心の動きを見抜いて励ましただろう。夫人も既に故人だが往時に「いろんな男をみてきたけど、あたしゃお父様が一番いいねぇ」と贈っている
▼今ごろ天国で、ほほ笑み合っているといいが。

 2018年  5月  5日  ― 改憲論と憲法記念日 ―
 憲法記念日は盛岡市内で各党派が憲法論議を繰り広げた。護憲改憲おのおのだったが、最近は従来の主張の枠に収まらない動きがあるらしい。
▼戦争放棄を誓ったのに結局は再軍備を許した憲法9条なぞ無意味。はっきり一切の兵器を持たず、侵略への自衛も含め戦闘しない宣言すべしと、左の改憲論があるという。
▼それに対して米国や集団的自衛権の話に巻き込まれないよう、北朝鮮や中国を独自に退けうる、専主防衛力を求めて護憲派の軍備増強論も出てきたと。いずれまだ少数意見だが、多角的な憲法論議の上では参考になる。
▼安倍総理念願の改憲はハードルが高まるばかり。それだけ歴史的な仕事をするなら数の力のみならず、国民投票を乗り切るくらい堅い政権基盤と求心力がいる。しかし森友・加計と引き続く一連の不祥事が発覚し、いつまでも収拾できない。さらにもう一つ改元という巨大な責任があり政治日程上、改憲発議への道のりは険しさを増している。
▼さっぱり不人気な総理の2度にわたる長期政権を許しているのは四分五裂ばかりの野党、小池都知事の気まぐれな動き、そして有権者の低投票率などだろう。しかしやけくそになった総理が、1年たたずまた解散などという「懐剣」をのんでいるなら、自分の命取りになりかねない。

 2018年  5月  4日  ― 「首相案件」語る官邸幹部 ―
 元総理大臣秘書の柳瀬唯夫氏は総理に仕える身として、当時から大うそをついてでも総理と自分を守ろうとしたのだろうか
▼総理秘書時代には四国愛媛に建設する国家事業の獣医大学請負先として、安倍総理の親友が経営する加計学園が浮上。その初期段階の2015年4月2日には、愛媛県庁や加計学園などの職員が官邸を訪問。柳瀬秘書官らと面談をしている
▼ところが同秘書官は獣医大四国設立事業は「首相案件」だと発言してしまう。総理は以前から親友との癒着や公私混同との追及には「関与はない」と否定してきたが、秘書官は正直に「首相案件です」と明かしてしまったのだ
▼それは報道で伝わり世間は騒然とする。一方、官邸面談から帰った愛媛の職員らが正確を期しまとめた備忘録も注目され公開された。慌てたのは柳瀬氏で彼は冒頭のような意図なのか大うそ作戦に着手する。だがそれはあまりにも拙劣で乱暴な手法だ
▼なんと官邸面談そのものを「記憶にない」と否定したのだ。失笑と怒りを買い柳瀬氏は面談を認める意向を固めたという。なお面談は内閣府の藤原次長も担当。この人もまた「要請内容は官邸から聞いている」と不用心にも「官邸」を出し、「首相案件」を裏付ける
▼加計参入を知ったのは昨年1月20日と言う総理のうそもばれてしまう。

 2018年  5月  3日  ― 悪いことすれば逃げられぬ ―
 県人作家の柚月裕子さん原作の12日封切り映画「孤狼の血」は、広島舞台の県警対組織暴力ものと聞き、東映の名作「仁義なき戦い」を連想しているうち、本当に広島県から恐ろしいニュース。松山刑務所を破った平尾龍磨受刑者が県内を逃走していると。脱獄とはずいぶん古典的な犯行で、とうとう広島市内で捕まり良かった。
▼「仁義なき」にも脱獄囚が出てくる。組の鉄砲玉にされた北大路欣也が、ほれた女に会いたくて無期懲役の塀を乗り越え、警官隊に囲まれ自殺する。
▼主役の菅原文太が、「極道のかがみじゃ言うて広島じゃ、やつの名を知らんもんはおらん。じゃが、やつの墓に線香を上げるもんは、もう誰もおらんとです」とつぶやく場面があった。いくら思い上がっても悪事必ず悲惨な末路ということ。
▼松山刑務所は塀や施錠のない刑務所として有名。性善説に立った運営が、平尾受刑者には通じなかった。刑務の作業に耐えられなかったなら、つらいことは山ほどあるしゃばのなりわいは勤まらぬ。
▼素人考えだが、受刑者に自分らが食べるくらいは自分で、稲作をやらせてみたら。自然を相手に国の本である農業の苦労が身にしみ、人生観は善に向かっていくのでは。田植えから脱穀まできれいに汗を流せば、脱獄などおかしなことも考えなくなる。

 2018年  5月  2日  ― パスポートは身分証明書 ―
 「パスポート(旅券)」は世界で通用する身分証明書だという。これがないと自国からも出られないし他国への入国もできない
▼周知のように海外渡航の予定がある人は、早めに役所の旅券窓口で申請するといい。パスポートには有効期限が10年間の「10年用」と5年間有効の「5年用」があり選択は自由だ(20歳未満は5年用のみ)。いずれも有効期限内なら何度でも利用できる
▼そういう便利さがある半面、使用しない期間が長い場合に肝心のパスポートの保管場所を忘れ、慌てる人が少なくない。当方もそんな警告を以前に聞いてからは、事務用品を入れた開ける頻度の多い木箱の一角に納めそれを本棚に置いている。毎年歳末には確認し前回の旅を懐かしむ習慣もできた
▼それにしても静岡の川勝県知事はどうしたのだろう。同県の伝統的なワサビ栽培が「世界農業遺産」に認定され、先月19日にローマで開催された同遺産認定証授与式などに出席するため、17日発予定で準備をしていたが当日になっても、パスポートが見付からなかったのだ
▼緊急でも再発行には4日はかかる。やむなく知事はローマ行きを断念。急きょ、有効パスポートを持つ難波副知事が飛び代行した。確かにパスポートは所持者の固有性を表記し裏付ける身分証明書なのだと、改めて思い知らされる。

 2018年  5月  1日  ― 大型連休も安全運転で ―
 カーレースのF1が日本で人気絶頂だったのは、ホンダのエンジン搭載車が活躍し、日本人初のフルタイムドライバーとなる中嶋悟さんの参戦のあった1980年代後半から90年代前半。日本でも毎年のようにレースがあった
▼日本人初の表彰台に上がった鈴木亜久里さんも続いたが、日本人以上に人気だったのがブラジル人のアイルトン・セナさんだった。「音速の貴公子」と呼ばれ、ホンダ創始者の本田宗一郎さんを父と呼び日本との関係も深かった
▼サーキットでレースを見た経験はないが、車載カメラも使われたテレビ放映を通じて爆音や速さは十分に伝わった。各サーキットともピットインを除けば、先行車を抜くポイントは少ない。高速走行で先行車にすれすれで近づき空気抵抗を避けながら一気に加速して抜く瞬間はF1の醍醐味(だいごみ)だ
▼セナさんはすでに故人。94年5月1日、サンマリノGPのレース事故により34歳で亡くなった。F1は車の性能に優劣や相性はあっても、一流ドライバーの判断と技術の攻防がある。だが、大惨事と隣り合わせだ
▼技術あるプロドライバーすら公道では安全運転だといわれる。大型連休は車で遠出する方も多い時期。渋滞でいらいらすることや疲れもあるだろうが、安全運転を心がけたい。あおり運転は言わずもがな。

2018年4月の天窓へ